北朝鮮、「精密誘導」弾道ミサイルの試験発射に成功か

2017年4月15日のパレードに登場した北朝鮮の「精密誘導」弾道ミサイル(写真:ロイター/アフロ)

5月29日早朝、北朝鮮は東部の元山から日本海に向けて弾道ミサイルを発射しました。約450km飛翔して日本の排他的経済水域に着水し、スカッドに類似した射程を持つ短距離弾道ミサイルと分析されています。

そして翌30日、北朝鮮は「新たに開発した精密誘導制御システムを導入した弾道ミサイルの試験発射に成功した」と発表しました。それは「敵船をはじめとする海上や地上の任意の地点を精密に打撃することが出来る」とし、対艦攻撃能力と対地精密誘導能力の両方を持つ新型弾道ミサイルであるとしています。そして「履帯式自走発射機の走行特性を試験した」ともありました。

以上の点から、29日に発射された短距離弾道ミサイルは、4月15日に平壌で行われた軍事パレードに登場した新型弾道ミサイルであると考えられます。スカッド系の弾体の前方部分に操舵翼が装着された謎のミサイルは、アメリカ側のコードネーム「KN-17」が暫定的に与えられています。KN-17の試験発射だったとすれば、確認されたのは今回が初めてになります。

KN-17は短距離弾道ミサイルであるため、日本への直接的な脅威はありません。韓国軍や在韓米軍の地上軍事目標を精密に打撃することを主眼に置いた兵器であると考えられます。北朝鮮側の発表では対艦攻撃能力を持つとしていますが、海上への索敵能力が著しく乏しい北朝鮮軍では米空母を発見する事自体が困難で、有効に活用することは先ず無理なために、実用性よりも政治的な効果を狙って対艦攻撃能力を強調しているものと推測します。

対艦弾道ミサイルの可能性に付いて

仮に短距離弾道ミサイルである「KN-17」で敵艦隊を狙ったとしても、射程が短いので速度が弾道ミサイルとしては遅く、山なりに弾道を描いて飛んで来るのでレーダーでの発見は容易で、イージス艦が護衛に付いているなら迎撃はそれほど困難ではありません。「対艦弾道ミサイル」には技術的なジレンマがあり、射程が短ければ誘導は可能ですが迎撃されやすく、しかし逆に射程を伸ばして迎撃され難いほど速度を上げると、今度は誘導が非常に難しくなります。その為、現在実用化されている対艦弾道ミサイルはイランの保有する射程300kmと短距離の「ハリジ・ファルス」があるくらいで、中国が開発しているとされる中距離の射程を持つ対艦弾道ミサイル「DF-21D」は、未だに海上目標への実射試験が確認されておらず、実用性がある兵器なのか疑問視されています。