【火の鳥、世界一に挑戦】メグカナ超えるとも!女子バレー10代エース、古賀紗理那と宮部藍梨の凄さ

世界へ鮮烈デビューした16歳の宮部藍梨(左)と19歳の古賀紗理那(写真:長田洋平/アフロスポーツ)

世界バレー銀、中国の郎平監督も注目

「今年、日本チームには優秀な2人が加わりました。日本にとって嬉しいことですね」。中国チームの郎平監督がふれたその2人、19歳の古賀紗理那(NEC)と金蘭会高校2年の16歳、宮部藍梨。本当にすごい選手が同時に出てきたなという嬉しい思いでいっぱいだ。

世界の強豪相手にも物怖じせず

2007年、2011年とワールドカップを連覇し、ロンドン五輪や世界バレーでも勝てなかった世界ランク5位のイタリア相手にも、フルセットで敗れはしたが、先発した古賀はスパイクでチーム1の26得点、2セット目からスタートで出た宮部は17得点を挙げた(決定率はそれぞれ46.43%、45.95%)。

続くドミニカ戦は古賀は出場しなかったが、宮部が代表初先発、フル出場。スパイクで主将の木村と並ぶ9得点を挙げ、勝利に貢献した。1-3で敗れた中国戦は古賀が先発出場、スパイクはチーム最多の13得点。一方、宮部は第4セットから出場し、5得点。世界バレー銀メダル、世界ランク3位、190cm台ばかりの高さのある中国相手にも物怖じせず打てていた。

メグカナ以来、十数年ぶりの10代日本代表コンビ

メグカナ(栗原恵・大山加奈)以来、十数年ぶりの10代日本代表コンビと言われているが、メグとカナは実は2人が同時に絶好調というのはあまりなかったので、10代の2人がデビュー戦(紗理那は国内で本格デビュー)で、そろってここまですごかったというのはそうそうないことだ。10代で日本代表デビューというのは、セッターの中田久美さん、宮下遥、それからアタッカーでいえば、木村沙織、先日引退を発表した狩野舞子、そして私も。(ただ私は18歳でワールドカップでデビューしたが、スタメン出場しながら8点くらいで交代、フル出場出来ずでした)

古賀と宮部。本当に10年、15年に一度のような、ゴールデンな世代の鮮烈デビュー、楽しみ以外の言葉が見つからない。

では、実際に、10代コンビはどこがどんなふうに凄いのか。さいたまラウンドで見た印象などもふまえ2人について書いてみます。

アタッカーとしてのセンスが素晴らしい古賀紗理那

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まずは古賀紗理那(180cm、スパイク最高到達点305cm)。

日本代表に初めて選ばれたのが熊本信愛女学院高校2年の2013年4月で、その年の「イタリア4カ国対抗」でデビューした。このワールドグランプリが本格的なデビューだ。短い練習ですぐ遠征、そして試合という中でも力を出せる、彼女の攻撃力が世界の舞台でも通用するということを感じさせてくれた。

古賀に求められているのは「攻撃力」。ジャンプ力やパワーもあるし、アタッカーとしてのセンスや技術も素晴らしい。空中でのバランスがとてもよく体の芯がずれない。眞鍋政義監督も話していたが「高い中国のブロックに対してもよい効果率を出せるのは空中でブロックが見えているから。いまの代表メンバーの中でいちばん見えているのが古賀」だという。判断力もいい。「ギリギリのコースを狙ってたね」という記者の人のコメントにも「そうだったですかね」というくらいで、実はそういうことが本能的にできていたりするのだ。

そしてもう一つ感じるのが「対応力」の高さ。高校生の頃から能力のあるすごい選手と注目されていて、NECに入りすぐに出場した前季のV・プレミアリーグで優勝。全日本についてはもしかしたらここまで活躍するというイメージのないまま招集されたかもしれないが、古賀はその入った場所でどう振る舞うべきか、どんな立場なのかを理解し、それが代表という場所、上のレベルならばそれにあったプレーができる、しっかりと対応できているのがすごい。

眞鍋監督も、これまでのワールドグランプリでの古賀は期待や予想を上回っているところもあると言われていた。

「緊張してるんです」といつも言っていて、内心はドキドキしているようだが(宮部同様に表情に出ないので緊張している感が出ていないが)、やっぱり勝負強いというか強い心臓を持っている。イタリアの高いブロックを前にしても堂々と打っていた。すごいのが出てきたという印象でグランプリの大収穫の一つだと思う。

古賀は守りもできるし、サーブもいい。「木村二世」みたいな感じで言われるが、木村よりも攻撃力のある点数を取れるポイントゲッター、昔でいうスーパーエース的立場にもなれると思う。木村は、本人も言っていたが、今季はレセプションやつなぎに集中していきたい、と。打数は木村に集中するというよりも減るだろうがその1本の質を問われる立場、しかし古賀は「点数を取ってください」的なスケール感。似ているタイプでありながらも、それぞれのスペシャリストな立場になれる選手だ。

古賀自身、中国戦がそうだったと思うが、これから世界のトップレベルの国とどんどん対戦し、試合を重ねることによって、いろいろ勉強になり、そしてそれが自信になっていくだろう。

眞鍋監督はイタリア戦の後のドミニカ戦では中国戦に備え、古賀を休ませた。体力、精神力、そして技術を含め、これからも課題はたくさんある。しかし、今回、古賀は「秘密兵器」的な大きな存在にすでになっている。

まだ19歳。全日本ではまだまだこれからだが、実は熊本信愛のときはキャプテンになって、より古賀のすごさが出てきた。声を出し、チームを鼓舞して引っ張っていた。自分が引っ張らなければならない場所になると、また力を発揮できるタイプ。

最高到達点309cm、秀でた身体能力の宮部藍梨

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そして宮部藍梨(181cm、スパイク最高到達点309cm)。ナイジェリア人の父と日本人の母との間に生まれ、体のバランスがすごくいい。なんといっても股下106cm、跳躍など身体能力も秀でたものがある。いまは高校生でそこまで本格的なトレーニングができていない中でのスパイクジャンプ309cm。あと5cmや10cmくらいは伸びるだろう。

宮部はパンチ力がある。古賀と似ている部分があるが、特性は少し違う。

試合前など、「できないことが多い。スパイクを期待されているけどそこまではできないと思うんです、技術もまだないし。でもそれを言い訳にしたくない。できない分、声と、はつらつさで頑張ります」と言っていて、眞鍋監督も「(このさいたまラウンドで)1回は使いたい」と話していた感じだったので、どれらい出るかなと思ってみていたが、初戦のイタリア戦から出場してしっかりと大活躍。

宮部のことは中3のJOCカップのころからいち早く見ているが、全国優勝したときにも、「夢は全日本ですか」という問いにも、「いやまだ」とか「高校でバレーはとりあえずやるんですけど……」ぐらいで。それを思うと、あれから2年でのこの変化。

春高バレーで「高校3冠」を決めたときも私は金蘭会のベンチリポートを担当していて、ずっとついていたが、先輩たちが引っ張ってくれる中で堂々とチームを勝利に導く活躍、すごく楽しそうにプレーしていた。試合を重ねていく春高の後半では「自分にトスを持ってきて」と自覚が芽生え、さらに自分がチームを引っ張るというリーダーシップも見えた。この全日本の経験をチームに持って帰りプラスにするだろう。そしてまた全日本合流が楽しみになる。

フィジカルな面はこれから。体を作っていくことによって、スパイクを打つときのぶれや体制が崩れることも少なくなってくるだろう。川合俊一さんが解説でいっていたが、無理な体制になったりすると、時々左肩が下がってしまい打点が下がってしまうことがあるが、体がしっかりしてくれば、常に高い打点で打てるようになると思う。

そしてキャラ的にも宮部は面白い。おとなしいのかと思えばやはり関西人、関西弁でしゃべるしゃべる、本当によくしゃべる(チームメイトの意見多数)(笑)。そのギャップと魅力たっぷりな宮部。ファンも応援したくなる選手になっていくことだろう。

貪欲に思い切ってプレーして

始まったばかり。2人がコートに入っての練習はそこまでできていないのだから、今すぐに全部は出来ないけれども私はそこは気にならない。時間が解決してくれることだからだ。2人にはとにかく貪欲に思い切ってプレーしてほしい。

さいたまラウンドでは古賀と宮部は宿泊先で同室だった。宮部が言っていたが、「同世代がいるのは心強い。2人で頑張っていこうと話している」のだという。もちろん2人が活躍できているのは、キャプテンの木村をはじめ、先輩方のサポートあってこそ。またチームにも「一体感が出てきた」。

ワールドグランプリ、日本は決勝ラウンドに進出

ワールドグランプリ、日本は決勝ラウンドに進出。開催国であるアメリカをはじめ、ブラジル、中国、イタリア、ロシアといった現在の世界のトップ陣と再び戦う機会を得た。

ワールドカップでリオの切符を

そのすぐ後には今季最大の目標である、リオ五輪切符がかかるワールドカップが控えている。8月22日の開幕まであと1ヶ月。世界の強豪と顔を合わせるこのグランプリを経験や学びにし、技術的課題を克服して最終調整し、ワールドカップでそれぞれの選手が自分の役割をまっとうするのが一番大切そうしてワールドカップでリオ五輪出場という夢を実現してほしい。そう願っている。

コートサイドでベンチリポート
コートサイドでベンチリポート

■ワールドグランプリ2015の結果、決勝ラウンドの日程など(日本バレーボール協会、FIVB)

■ワールドカップバレー2015の日程・組み合わせ(日本バレーボール協会)

■火の鳥NIPPONのメンバー(日本バレーボール協会)