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長続きしない大掃除日和 来週は今冬一番の寒さで大雪も

饒村曜気象予報士
上空約5500メートルの気温分布予想(12月14日夜の予想)

==大掃除日和==

 北日本を中心とした西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下し、全国的に初冬らしい寒さとなりました。

 その冬型の気圧配置もゆるみ、移動性高気圧が通過するため、これから週末にかけて気温がやや上昇する予報です(図1)。

図1 予想天気図(12月10日9時の予想)
図1 予想天気図(12月10日9時の予想)

 12月10日(木)の最高気温は、東海から西日本は15度以上で、九州南部は20度を超える見込みです(図2)。

図2 最高気温の予想(12月10日)
図2 最高気温の予想(12月10日)

 また、翌11日(金)も、太平洋側を中心に広い範囲で晴れ、引き続き気温の高い状態が続きそうです。

 東京など関東でも、15度前後まで上がる見通しです。

 最低気温が氷点下となる冬日は、12月6日(日)には、気象庁が気温を観測している920地点の394地点(43%)に達していましたが、これから週末にかけては減り、多くの地方で大掃除日和になる予報です(図3)。

図3 全国の冬日と真冬日の観測地点数(11月23日~12月9日)
図3 全国の冬日と真冬日の観測地点数(11月23日~12月9日)

 しかし、週明けからは、冬日だけでなく、真冬日(最高気温が0度未満の日)も増えてきます。

 これは、週明けからは強い寒気が南下してくるからで、太平洋側を中心とした晴れて穏やかな大掃除日和は長続きしません。

==寒気の目安==

 日本列島に南下する寒気の目安として、上空約5500メートルと、上空約1500メートルの気温が使われます。

 上空約5500メートルの気温が氷点下30度以下なら強い寒気、氷点下36度以下なら非常に強い寒気で大雪の可能性もあります。

 12月前半の上空約5500メートルで氷点下36度以下の非常に強い寒気は周期的に北海道を通過しましたが、氷点下30度以下の強い寒気は北海道から東北北部に南下したままでした。

 これから週末にかけ、この氷点下30度以下の寒気は北海道の北まで北上し、全国的に暖かくなるのですが、14日(月)には再び東北地方まで南下してきます(タイトル画像参照)。

 そして、北海道北部では、氷点下36度どころか、氷点下42度以下という、真冬でもなかなか出現しない強烈な寒気が南下してきます。

 北日本や北陸では大雪に警戒しなくてはならないかもしれません。

 また、平地で雨として降るか、雪として降るかの判断の目安が、上空約1500メートルの気温が氷点下6度を境にされます。

 降水現象が、上空約1500メートルの気温が氷点下6度未満であれば雪、氷点下6度以上であれば雨として降ることが多いからです。

 この上空約1500メートルで、氷点下6度という寒気は、14日(月)の夜には、関東北部から九州・四国に南下し、翌15日(火)以降は、さらに南下する予想です(図4)。

図4 上空約1500メートルの気温分布(12月14日夜)
図4 上空約1500メートルの気温分布(12月14日夜)

 北日本や北陸だけでなく、関東から西日本でも、降水現象があれば雪として降る状況になりますので、各地から初雪の便りが届くかもしれません。

 全国的に雪に警戒しなければならない季節となったのです。

==東京の気温変化==

 東京の最高気温は、平年より低い温度で12月に入ったものの、これから週末にかけれ、さらにそれ以降は平年より高い日が続きそうです。

 しかし、もはや11月の暖かさには及びませんし、15日(火)以降は、平年より低くなる予報です(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(12月10日から16日は気象庁、12月17日から25日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(12月10日から16日は気象庁、12月17日から25日はウェザーマップの予報)

 一方、最低気温は、平年並みで12月に入り、今週は平年より高い日が続いていましたが、来週の半ば以降は平年を大きく下回り、17日(木)と18日(金)は、氷点下1度と真冬でもめったに出現しない予報となっています。

 寒暖差が10度以上もあり、体調管理に十分注意が必要です。

タイトル画像、図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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