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東日本の太平洋側で大雨に警戒も、来週は梅雨明け?

饒村曜気象予報士
活発な梅雨前線の雲(6月30日15時00分)

前線の通過

 令和2年(2020年)6月30日は、梅雨前線上で低気圧が発達し、西日本の太平洋側から東海を中心に大雨となりました。

 高知県香美市繁藤(しげとう)では1時間に降水量が81.5ミリという猛烈な雨が降り、高知県馬路村魚梁瀬(やなせ)で24時間降水量377.0ミリを観測するなど、西日本の太平洋側から東海地方にかけて200ミリ以上の雨が降っています(図1)。

図1 予想天気図(7月1日9時の予想)
図1 予想天気図(7月1日9時の予想)

 低気圧の東進に伴い、強い雨は次第に東へ移動し、翌7月1日は、東日本の太平洋側を中心に200ミリを超える大雨が降る見込みです(図2)。

図2 24時間予想降水量(7月1日)
図2 24時間予想降水量(7月1日)

 東日本の太平洋側、特に、前日の6月30日から大雨が降っている静岡県では大雨に対する警戒が必要です。

奄美の梅雨明け

 低気圧の通過に伴って前線が南下して衰弱し、7月1日から2日は西日本で、2日から3日は東日本で梅雨の晴れ間となりますが、週末は再び前線上に低気圧が発達し、その前線が北上して活発化する見込みです。

 令和2年(2020年)は、5月10日に鹿児島県奄美地方で、翌11日に沖縄地方で梅雨入りをしました(表)。

表 令和2年(2020年)の梅雨入りと梅雨明け
表 令和2年(2020年)の梅雨入りと梅雨明け

 沖縄地方は奄美地方に遅れて梅雨入りしましたが、平年より11日も早い6月12日に梅雨明けとなっています。

 しかし、沖縄より先に梅雨入りした奄美地方でしたが、梅雨明けは平年の6月29日より遅れています。

 ウェザーマップの16日先までの名瀬の天気予報によると、傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)があるのは7月3日までです(図3)。

図3 鹿児島県奄美大島の名瀬の16日先までの天気予報
図3 鹿児島県奄美大島の名瀬の16日先までの天気予報

 7月4日以降はお日さまマーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)だけです。

 しかも、ほとんどの日は、降水の有無の信頼度が5段階で一番高いAの予報です。

 現在南下している前線は、太平洋高気圧の強まりとともに北上し、そのまま再度の南下はないという予報です。

 奄美地方は、7月3日から4日に梅雨明けするかもしれません。

関東甲信地方の梅雨明け

 ウェザーマップの16日先までの東京の天気予報によると、7月2日にお日さまマーク(晴れ)があるものの、4日までは傘マーク(雨)がついています(図4)。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 そして、黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)があるのは5日までで、6日以降はお日さまマークと白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の日が11日間も続く予報です。

 7月6日に平年よりかなり早く梅雨明けとなる可能性があります。

 ただ、名瀬の予報と違って、降水の有無の信頼度は、5段階で下から2番目のDが複数入っています。

 このため、7月6日に梅雨明けではなく、長い梅雨の中休みとなる可能性もあります。

 東京を含む関東甲信地方の梅雨明けは、平年が7月21日ですので、7月6日に梅雨明けとなると、かなり早い梅雨明けということになります(図5)。

図5 関東甲信地方の梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)
図5 関東甲信地方の梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)

 関東甲信地方の梅雨明けは、統計を取りはじめた昭和26年(1951年)以降、最も早い記録(最早、さいそう)が平成30年(2018年)の6月29日です。

 平成13年(2001年)の7月1日、昭和53年(1978年)の7月4日、昭和48年(1973年)の7月5日と続きますので、令和2年(2020年)が7月6日に梅雨明けをした場合は、平成29年(2017年)、平成25年(2013年)、昭和34年(1959年)とならんで5位タイの早さということになります。

 ちなみに、関東甲信地方で最も遅い(最遅、さいち)梅雨明けは昭和57年(1982年)の8月4日ですが、梅雨明けが特定できなかった平成5年(1993年)の例もあります。

 この年は、立秋(8月7日頃)までに梅雨明けがはっきりしなかったからです。

 梅雨明けが特定できなくても、どこかで梅雨が明け、翌年、平成6年(1994年)は、6月7日に梅雨入りとなっています。

 ウェザーマップの16日先までの天気予報によると、北陸地方と東北地方は、7月16日まで黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)や傘マーク(雨)が多い予報ですが、東海から西日本は関東甲信地方と似た傾向の予報です(図6)。

図6 新潟の16日先までの天気予報
図6 新潟の16日先までの天気予報

 来週は太平洋高気圧が日本列島に張り出し、梅雨明けラッシュになるかもしれません。

 ただ、この場合は、真夏の高温となりますので、熱中症に厳重警戒です。

タイトル画像、図2、図3、図4、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図5の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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