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台風2号発生 日本への直接的な影響はないものの

饒村曜気象予報士
南シナ海で発生した台風2号の雲(6月12日9時)

台風2号の発生

 令和2年(2020年)6月12日(金)21時に南シナ海で台風2号(アジア名「ヌーリ」)が発生しました(タイトル画像参照)。

 台風が発生する目安となっているのが海面水温27度ですが、南シナ海では海面水温が29度以上でした。

 台風は6月までに3~4個発生しますので、平年より遅い発生ペースです(表)。

表 台風の発生数
表 台風の発生数

 今後、台風2号は南シナ海を北西に進み、14日(日)には中国の華南付近で熱帯低気圧に変わる見込みです(図1)。

図1 台風2号の進路予報(6月12日21時の予報)
図1 台風2号の進路予報(6月12日21時の予報)

 台風の進路予報は、最新のものをお使いください。

 日本へ直接の影響はありませんが、間接的な影響はあります。

 台風などで上昇した空気は、上空で広がり、台風の北側にある高気圧のところで下降しますので、台風の北側の高気圧が強まる傾向があります。

 つまり、東シナ海の高気圧が強まることで、梅雨前線が活発化するかもしれないからです。

 台風2号の動向から目が離せません。

平年の6月の台風

 筆者が昔調査した6月の平均的な台風経路によると、南シナ海で発生した台風は、ほとんどが西進して華南に上陸し、東へ向きを変えるものはほとんどありません(図2)。

図2 6月の平均的な台風経路図
図2 6月の平均的な台風経路図

 日本付近に接近してくるのは、フィリピンの東海上で発生した台風ですので、この海域で発生する台風には要注意です。

 現在、フィリピンの東海上には発達した積乱雲の塊がありませんので、すぐに熱帯低気圧や台風が発生する兆候はありません。

 とはいえ、油断大敵です。

タイトル画像、図1の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。

表の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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