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沖縄の梅雨明けと関東甲信等の梅雨入り・コロナ禍では例年以上に大雨と暑さに警戒 

饒村曜気象予報士
沖縄以外は晴れた日本列島(6月2日15時)

令和2年(2020年)の梅雨

 令和2年(2020年)は、5月10日に鹿児島県奄美地方が梅雨入りし、翌11日に沖縄地方が梅雨入りをしました。

 平年値から見ると、沖縄地方は奄美地方より2日位早く梅雨入りをしますが、最近は奄美地方のほうが早く梅雨入りをしており、令和2年(2020年)もそうでした。

 こうして、南西諸島は梅雨に入り、梅雨前線が沖縄付近に停滞したため、雨の日が続きました。

 そして、その梅雨前線が北上して九州南部地方から四国地方を中心に雨を降らせたため、5月30日に九州南部地方、翌31日に四国地方が梅雨入りをしました(表)。

表 令和2年(2020年)の梅雨入りと梅雨明け
表 令和2年(2020年)の梅雨入りと梅雨明け

 その間、沖縄地方は晴れの日が続き、梅雨の中休みとなりました。

 梅雨入りは、その日から雨が続く雨期とは違い、雨の日が多くなるという意味ですので、梅雨入りの翌日に晴れるということがよくあります。

 この場合でも、次の雨までの期間が短くなるので梅雨入りです。

 九州南部・四国地方を梅雨入りさせた梅雨前線は、すぐに南下したため、九州南部・四国地方で短い晴れ間となり、沖縄では戻り梅雨となりました。

 しかし、梅雨前線は再度北上する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(6月4日9時の予報)
図1 予想天気図(6月4日9時の予報)

 このため、九州南部・四国地方は再び雨、それも大雨となりますので、雨に対する警戒が必要です。

 一方、沖縄地方は晴れてきます。

 そして、北上した梅雨前線が、南下しなくなると沖縄地方は梅雨明けとなります。

沖縄地方の梅雨明け

 沖縄地方の梅雨明けの平年日は6月23日で、最も早かったのは平成27年(2015年)の6月8日、最も遅かったのは令和元年(2019年)の7月10日です(図2)。

図2 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)
図2 沖縄地方の梅雨入りと梅雨明け(昭和26年(1951年)以降)

 最も早い梅雨明けも、最も遅い梅雨明けも最近のことであることから、近年は沖縄地方の梅雨明けの変動が大きいと考えられます。

 ウェザーマップの16日先までの天気予報を見ると、6月6日から8日に黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)がありますが、それ以外の日は、お日さまマーク(晴れ)と白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)です(図3)。

図3 那覇の16日先までの天気予報
図3 那覇の16日先までの天気予報

 傘マーク(雨)はありません。

 この16日先までの天気予報だけからみると、6月9日に梅雨明けの可能性があります。

 また、6月6~8日の降水の有無の信頼度が、5段階で一番低いEですので、この期間の雨の可能性が小さくなる場合は、梅雨明けが早まり、これまでの梅雨明けの早い記録を更新するかもしれません。

 沖縄地方が梅雨明けすると、連日、最高気温が30度以上の真夏日となりますので、より一層の暑さ対策が必要になります。

 

関東甲信の梅雨入りは

 東京の16日先までの天気予報をみると、6月11日以降、黒雲マークの日が連続しています(図4)。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや、二番目に低いDが多い予報ですが、平年より少し遅れた11日に梅雨入りの可能性があります。

 あるいは、6月8~10日の天気予報が、もう少し雨が多い予報に変わると、平年より少し早い6月6日に梅雨入りということになります。

 いずれにしても、関東甲信地方の梅雨入りは秒読みです。

 各地の16日先前での天気予報を見ると、福岡は6月10日以降、大阪は6月11日以降黒雲マークの日が続きますので、この頃に多くの地方で梅雨入りしそうです。

 大雨の季節に入りますので、最新の気象情報の入手に努め、河川の洪水や低地の浸水、土砂災害などに備える必要があります。

 新型コロナウイルスが流行しており、自治体等の防災機関は、例年通りの防災対策ができない可能性があります。

 最新の気象情報を入手し、新型コロナウイルスに注意しつつ、早めの行動が必要です。

 新型コロナウイルスに注意することによって避難が遅れることになれば、元も子もありません。

暑さ対策

 まもなく多くの地方で梅雨入りとなりますが、気温はかなり上がってきています。

 東京の最高気温をみると、5月は平年より低い日もありましたが、最高気温が25℃以上という夏日も観測しています。

 6月に入ると、この夏日が連続する予想です(図5)。

図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月3~9日は気象庁、6月10~18日はウェザーマップの予報)
図5 東京の最高気温と最低気温の推移(6月3~9日は気象庁、6月10~18日はウェザーマップの予報)

 春から夏にかけての暑さは、体が熱さに慣れていないことから、夏日であっても暑さ対策が必要です。

 令和2年(2020年)の夏日の累計地点数は、記録的な暑さだった昨年、令和元年(2019年)と比べて、極端に少なくなってはいません(図6)。

図6 全国の夏日の累計地点数(4月1日~6月2日)
図6 全国の夏日の累計地点数(4月1日~6月2日)

 令和2年(2020年)も、暑さ対策が必要です。

 しかも、令和2年(2020年)は、新型コロナウイルス対策で、マスク着用が当たり前になっている夏ですので、マスク着用時には、より一層の暑さ対策が必要です。

 マスク着用により、体内の熱が外に放出されにくくなり、より熱中症にかかりやすくなるからです。

 新型コロナウイルス対策で忙しい医療機関を、防ぐことができる熱中症によって、より忙しくする事態は避けなければなりません。

 コロナ禍では例年以上に大雨と暑さに警戒が必要です。

  

タイトル画像、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、表の出典:気象庁ホームページ。

図2の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図5、図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ提供資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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