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梅雨前線から離れていても梅雨のような関東・東北と梅雨の沖縄

饒村曜気象予報士
上空の寒気に対応する日本海の雲渦巻き(5月20日15時)

=関東・東北の梅雨のような天気==

 令和2年5月20日(水)の東北地方太平洋側からから関東地方、北陸から西日本の日本海側では雲が多く、雨が降ったところもありました。

 日中の気温のあがらず、梅雨寒を思わせる天気となりました(図1、タイトル画像参照)。

図1 推計天気分布(5月20日15時)
図1 推計天気分布(5月20日15時)

 そして、5月21日(木)も同様な天気が続く予報です。

 前日の20日ほどではありませんが、21日も気温は平年より低めです。

 また、北日本では低温注意報が発表されています(図2)。

図2 低温注意報の発表状況(5月20日22時56分現在)
図2 低温注意報の発表状況(5月20日22時56分現在)

 低温注意報は最新のものをお使いください

 これらは、上空約5500メートルで氷点下18度以下という寒気が日本海にあり、ゆっくり北日本を通って北海道の東海上へ進むからです(図3)。

図3 上空約5500メートルの気温分布(5月20日夜)
図3 上空約5500メートルの気温分布(5月20日夜)

 梅雨時のような天気ですが、梅雨時の天気図とは違い、近くに停滞前線はありません。

 停滞前線は関東のはるか南海上にあって西に延び、梅雨入りしている沖縄の近海から台湾に達しています(図4)。

図4 地上天気図(5月20日15時)
図4 地上天気図(5月20日15時)

 上空の寒気が通過した週末以降は、関東から東北の晴れが多い天気が続く予報です。

 ウェザーマップの16日先までの天気予報をみると、5月23日(土)から30日(土)まで、お日様マーク(晴れ)や、白雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)の予報が続きます(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)の日が続くのは、再来週の31日(日)からです。

 降水の有無の信頼度が5段階表示で一番低いEがほとんどという予報ですが、再来週からは走り梅雨になるかもしれません。

夏日に注意

 図6は、東京の5月から6月までの最高気温と最低気温の推移を示したものです。

図6 東京の5月から6月までの最高気温と最低気温の推移(5月21~27日は気象庁、5月28日~6月5日はウェザーマップの予報)
図6 東京の5月から6月までの最高気温と最低気温の推移(5月21~27日は気象庁、5月28日~6月5日はウェザーマップの予報)

 なお、5月21~27日については、気象庁の最高気温と最低気温の予報を使っていますので、図5の予報とは多少違いがあります。

 図6によると、東京では今週末まで気温が低い日が続きますが、週明け以降、夏日(最高気温が25度以上の日)が続く予報です。

 東京だけでなく、全国的に晴れれば夏日という季節になってきました。

 春は、暑さに体が慣れていませんので、夏日であっても熱中症の心配がでてきます。

沖縄の梅雨明けは月末?

 梅雨入りしている奄美・沖縄地方では、停滞前線(梅雨前線)が近海にあって、連日のように雨が降る予報です(図7)。

図7 那覇の16日先までの天気予報
図7 那覇の16日先までの天気予報

 那覇では、今週末の強い雨も含め、5月30日(土)まで連続して傘マーク(雨)の予報です。

 しかし、31日(日)以降は、梅雨前線が北上したまま南下してこなくなり、お日様マーク(晴れ)が続き、6月にはいると黒雲マーク(雨の可能性が少ない曇り)がなくなります。

 降水の有無の評価は、5段階で一番低いEか、二番目に低いDですが、この頃に沖縄地方は梅雨の中休みになりそうです。

 ちなみに、沖縄の梅雨明けの平年は6月23日(奄美地方は6月29日)です。

 梅雨前線が北上したまま南下してこなくなると、九州南部などで梅雨入りする可能性がでてきます。

 図8は、鹿児島の16日先までの天気予報です。

図8 鹿児島の16日先までの天気予報
図8 鹿児島の16日先までの天気予報

 鹿児島では、しばらくはお日さまマーク(晴れ)が多い天気予報ですが、5月30日(土)以降、傘マーク(雨)の予報が続きます。

 降水の有無の信頼度は、日によって変わり、5段階表示で、3番目のCから一番低いEまでとなっていますが、九州南部の梅雨入りの平年日が5月31日ということを考えると、5月30日頃に梅雨入りする可能性が大きいと思います。

 日本では、毎年のように梅雨時には大災害が発生していますが、まもなく各地で梅雨入りとなります。

 新型コロナウィルスとの闘いの中では、例年以上に気象情報に注意し、早めに、そして慎重な行動が求められています。

タイトル画像、図1、図5、図7、図8の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図4の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ資料に著者加筆。

図6の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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