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雨の季節前に新型コロナ対策の効果を出すため外出自粛 まもなく沖縄梅雨入りと台風発生

饒村曜気象予報士
沖縄の南海上で東西に連なる雲の塊(4月30日15時)

外出自粛の行楽日和

 令和2年(2020年)ゴールデンウイークは、初日の4月29日(昭和の日)から高気圧におおわれて晴天の所が多くなっています(図1)。

図1 地上天気図(4月30日15時)
図1 地上天気図(4月30日15時)

 この晴天はしばらく続き、例年であれば、行楽日和に誘われて多くの人出が予想されます。

 しかし、令和2年(2020年)のゴールデンウイークは、行楽日和であっても新型コロナウイルス対策で外出自粛です。

 早く新型コロナウイルスの流行を抑えないと、梅雨前線や台風による本格的な雨の季節がやってくるからです。

 日本では、毎年のように雨の季節には災害が発生しています。

 新型コロナウイルスの流行中に本格的な雨の季節を迎えると、命を守るために、密集空間に避難する可能性があり、「水害・土砂災害で死にますか、新型コロナで死にますか」という悪夢の選択もありえます。 

 自治体では、避難所の運営などの防災活動に新型コロナウイルス対策が加わり、人手と手間がより多くかかって、これまでのような防災活動ができない可能性もあります。

 つまり、本格的な雨の季節が先か、ゴールデンウイークの外出自粛によって新型コロナウイルス対策の効果が出てくるのが先かという競争になっています。

沖縄梅雨入り

 沖縄地方の梅雨入りは、平年が5月9日とゴールデンウイーク後ですが、昭和55年(1980年)の4月20日のように、年によってはゴールデンウイーク前のこともあります(図2)。

図2 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)~令和元年(2019年)の69年間)
図2 沖縄の梅雨入り(昭和26年(1951年)~令和元年(2019年)の69年間)

 現在、沖縄の南海上には東西に連なる雲の塊があり、前線が停滞しやすくなっています(タイトル画像参照)。

 そして、次第に雲が増え、前線がはっきりしてきます(図3)。

 この前線は、沖縄本島付近からあまり動きませんので、前線の種類としては停滞前線ですが、沖縄が梅雨入りしたあとなら、この前線は梅雨前線と呼ばれます。

図3 予想天気図(5月2日9時の予想)
図3 予想天気図(5月2日9時の予想)

 ウェザーマップの「16日先までの天気予報」によれば、那覇ではゴールデンウイーク後半から傘マーク(雨)や黒雲マーク(雨の可能性がある曇り)が続きます。

 早ければ5月2日のゴールデンウイーク中に梅雨入りの可能性があります(図4)。

図4 那覇の16日先までの天気予報
図4 那覇の16日先までの天気予報

 ただ、そのあとの再来週は、お日さまマーク(晴れ)や、白雲マーク(雨の可能性が小さい曇り)が多く、梅雨入りしたとしても、一週間もたたないうちに梅雨の中休みの可能性もあります。

 いずれにしても、沖縄はまもなく梅雨入りですし、そのほかの地方も、梅雨入りは遠くありません。

台風1号発生か

 台風の統計が行われている昭和26年(1951年)以降で、台風1号が一番早く発生したのは1月1日(平成31年(2019年))となっています。

 また、一番遅く発生したのは7月9日(平成10年(1998年))となっています(図5)。

図5 月別の台風1号の発生
図5 月別の台風1号の発生

 しかし、これは、あまり意味をなさない統計です。

 というのは、台風は熱帯の暖かい海で発生・発達しますので、前年の暖かさが残っていると1月にも台風が発生するからです。

 つまり、資料が集まれば、一番早い台風発生は自動的に1月1日になってしまいます。

 台風の新年度を、一年で一番寒くなったところからスタートとすると、3月スタートとなります。

 台風の新年度を3月とすると、台風1号の発生は、3月が32%、4月が36%です。

 つまり、多くの年は、4月までに台風1号が発生していることになります(図6)。

図6 台風の新年度から見た台風1号の発生
図6 台風の新年度から見た台風1号の発生

 令和2年(2020年)は、4月までに台風1号が発生していませんので、台風発生が遅い年となっています。

 北西太平洋の熱帯域では、積乱雲が少ない状態が続いていましたが、ここへきて積乱雲が増え、まとまってきました。

 いますぐ、熱帯低気圧や台風は発生するわけではありませんが、気象庁の解析や予報では、フィリピンのミンダナオ島の東海上で低圧部(気圧が周囲より低くなっている場所でLと表示)があるとしています(図7)。

図7 広域の予想天気図(5月2日9時の予想、図3と同じ時刻の広域版)
図7 広域の予想天気図(5月2日9時の予想、図3と同じ時刻の広域版)

 ここから台風1号が発生するかもしれません。

 梅雨に台風と、雨の季節が近づいています。

 ゴールデンウイークは外出自粛で早く新型コロナウイルスの流行をとめましょう。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3、図7の出典:気象庁ホームページ。

図2、図5、図6の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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