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寒さも今週まで 来週は暖かくなって「夏も近づく八十八夜」

饒村曜気象予報士
茶畑と富士山(写真:アフロ)

低気圧が周期的に通過

 令和2年(2020年)4月は、日本付近を周期的に低気圧が通過し、4月としては雨が多くなっています。

 そして、低気圧通過後は寒気が南下し、気温が低くなるということが繰り返しました。

 4月25日(土)も、低気圧が日本海から北日本を通過する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(4月25日9時の予想)
図1 予想天気図(4月25日9時の予想)

 そして、この低気圧が通過した週明けの27日(月)には、上空にやや強い寒気が南下して寒くなります。

 上空の寒気の目安として、上空約5500メートルで気温が氷点下30度ということが使われますが、この上空約5500メートルで氷点下30度以下という寒気が東北北部まで南下してきます(図2)。

図2 上空約5500メートルの予想気温分布(4月27日朝)
図2 上空約5500メートルの予想気温分布(4月27日朝)

 また、氷点下24度以下のやや強い寒気は、北関東から山陰まで南下してきます。

 真冬に比べれば気温が特段に低いというわけではありませんが、真冬に比べれば地上付近の気温がかなり高くなっていますので、地表付近と上空との温度差は大きくなります。

 大気が不安定となり、積乱雲が発達して落雷や突風、短時間強雨など、低気圧通過後も注意が必要です。

最後の寒気?

 来週の週明けに寒気が南下した後は、高気圧におおわれ晴れの日が多くなると予想されていますので、しばらく寒気が南下してこない見込みです。

 これが最後の寒気かもしれません。

 東京の4月の最高気温と最低気温の推移をみると、ともに、週明けに南下した寒気以降は、平年より高くなる予報です(図3)。

図3 東京の4月の最高気温と最低気温(4月24~30日は気象庁の予報、5月1~9日はウェザーマップの予報)
図3 東京の4月の最高気温と最低気温(4月24~30日は気象庁の予報、5月1~9日はウェザーマップの予報)

 月が替わった5月1日(金)は、最高気温が25度と夏日(最高気温が25度以上の日)の予報です。

 そして、5月2日以降も最高気温が25度に近い日が続く予報です。

夏も近づく八十八夜

 八十八夜は、立春から数えて88日目の夜のことで、令和2年(2020年)では、5月1日になります。

 明治45年(1912年)に刊行された「尋常小学唱歌」に掲載された唱歌「茶摘」の歌いだしは「夏も近づく八十八夜 野にも山にも若葉が茂る」です。

 そして、この「茶摘」が八十八夜のイメージとして定着しました。

 令和2年(2020年)はまさに歌の通りで、月が替わって5月になると「夏も近づく」気温となります。

 東京の16日先までの天気予報を見ると、日本海から北日本を通過する低気圧の影響をあまり受けずに晴れの週末の見込みです(図4)。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 来週は28日(火)に黒雲マーク(雨の可能性がある曇りマーク)がありますが、ほとんどの日は晴れマークと白雲マーク(雨の可能性が小さい曇りマーク)です。

 29日(水)からゴールデンウィークが始まります。

 例年であれば、好天にさそわれ多くの人が外出ということになるのでしょうが、今年は、将来のために「好天であってもおうちで楽しもう」です。

再来週は走り梅雨

 来週と違い、ゴールデンウィーク後半の再来週は、傘マークや黒雲マーク(雨の可能性がある曇りマーク)の日が続きます。

 これは、走り梅雨に対応しています。

 毎年のように災害が発生している雨の季節がまもなく始まるのです。

 新型コロナ対策の効果がでないうちに雨の季節を迎えると、「コロナにかかる可能性があっても、命を守るために人が集まる場所に避難する」という最悪の行動をとらざるをえません。

 コロナは治療によって普段の生活に戻る可能性がありますが、災害で死んでしまえばそれまであるからですが、絶対に取りたくない行動です。

 雨の季節を迎える前に、新型コロナ対策の効果がでないと、絶対に取りたくない行動を強いられます。

 来年以降も生き延びて、「令和2年(2020年)のゴールデンウィークはどこえもゆけず散々だった」などと、盛り上がった宴会をしませんか。

 生き延びなければ、文句を言うこともできません。

 繰り返しますが、今年のゴールデンウィークは「おうちにいよう」が合言葉です。

図1の出典:気象庁ホームページより。

図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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