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今回は後を引く南岸低気圧

饒村曜気象予報士
南岸低気圧の雲(4月12日6時00分)

南岸低気圧

 令和2年(2020年)4月12日は、九州の南海上に前線を伴なった低気圧が西日本を東進していますので、ほぼ全国的に雨の日曜日となり、非常に激しく降る所もある見込みです。

 この低気圧は、四国の南海上から東海沖を通過する見込みで、いわゆる南岸低気圧です(図1、タイトル画像参照)。

図1 地上天気図(4月12日6時)
図1 地上天気図(4月12日6時)

 ただ、多くの南岸低気圧は、低気圧の東進とともに天気が回復しますが、今回は違います。

 まず、南岸低気圧接近前に、関東の南海上で低気圧が発生しましたので、関東地方南部から東北南部は、南岸低気圧による雨雲が接近する前に雨が降り降り始め、小休止を挟んでの南岸低気圧による雨が降る予報です。

 そして、南岸低気圧が本州の太平洋側に達したあと、上空に寒気を伴った別の低気圧が東海沖で発生する見込みです(図2)。

図2 予想天気図(4月13日21時の予想)
図2 予想天気図(4月13日21時の予想)

 このため、南から暖かくて湿った空気が流入し、大気の状態が非常に不安定となる見込みです。

後を引く南岸低気圧

 令和2年(2020年)4月12~13日の南岸低気圧は、通過したら天気が回復するのではなく、後を引きます。

 西日本から北日本にかけては、13日にかけて、局地的に雷を伴った1時間に50ミリ以上の非常に激しい雨が降り、大雨となる所があるでしょう。

 13日6時までの24時間に、東海地方で180ミリ、伊豆諸島で100ミリ、中国地方で100ミリの雨が予想されていますが、南岸低気圧の後ろの低気圧によって雨が続きます。

 南岸低気圧による大雨は、太平洋沿岸で多く、今回も、紀伊半島東部や埼玉県で多くなる予想です。

 しかし、山陰地方でも150ミリを超えてくる予想です(図3)。

図3 36時間予想降水量(13日21時までの36時間)
図3 36時間予想降水量(13日21時までの36時間)

 普段の南岸低気圧より、雨の範囲が広いということを念頭に、日曜日だけでなく週初めの月曜日も、大雨による低い土地への浸水や土砂災害、および、暴風や高波などに注意・警戒してください。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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