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南岸低気圧から気温が高い1週間をへて早めの菜種梅雨?

饒村曜気象予報士
日本海西部で発生しつつある低気圧の雲(1月19日9時00分)

南岸低気圧の後は日本海低気圧

 南岸低気圧と高気圧が交互に通過する晩冬らしい天気が続いています。

 例年の真冬であれば、西高東低の冬型の気圧配置が続き、本州の南岸で低気圧が発生・発達することはありません。

 南岸低気圧によって関東地方などに雪が降った場合、この雪を「春を告げる雪」と呼んでいた所以です。

 大学入試センター試験が始まった1月18日は、本州の南海上を低気圧が発達しながら通過したため、東日本の太平洋側では雨や雪が降りました。

 この低気圧が北から寒気を南下させたため、関東では気温が平年より低くなりました。

 しかし、関東以外では、気温が下がったといっても、これで平年並みというところが多くなっています。

 それだけ、平年より気温が高い状態が続いていたのです。

 発達した低気圧の後面で寒気が南下しましたが、一時的でした。

 1月19日の夜には日本海で低気圧が発生し、再び南から暖気が流入しています(図1)。

図1 予想天気図(1月19日21時)
図1 予想天気図(1月19日21時)

 立春以降であれば、日本海に低気圧が入って発達すると、春一番です。

 つまり、図1は春一番もどきの天気図ということもできます。

 まだ1月の中旬ですが、春を告げる雪が降り、春一番の天気図出現となると、「今年の冬はどこへいったか」と思いたくなります。

暖かい一週間

 日本海にある低気圧が北日本を通過し、北日本を中心に一時的に西高東低の冬型の気圧配置となりますが、寒気が南下しても一時的です。

 今週は、低気圧と高気圧が交互に通過し、全国的に暖かい一週間となります。

 東京の最高気温と最低気温の推移を見ると、1月18日は最低気温が平年を大きく下回りましたが、それ以降は平年より高い日が続く予報です(図2)。

図2 東京の最高気温と最低気温の推移(1月18~24日は気象庁、1月25日~2月2日はウェザーマップの予報)
図2 東京の最高気温と最低気温の推移(1月18~24日は気象庁、1月25日~2月2日はウェザーマップの予報)

 最低気温に至っては、平年より高い日が続きます。

 気温からみると東京はすでに春です。

 すでに春という傾向は、東京だけではありません。

 例えば、札幌では、最高気温、最低気温ともに寒気が南下したときに平年並みまで下がりますが、それ以外は平年より高い日が続きます(図3)。

図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月18~24日は気象庁、1月25日~2月2日はウェザーマップの予報)
図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(1月18~24日は気象庁、1月25日~2月2日はウェザーマップの予報)

 福岡に至っては、最高気温、最低気温ともに、しばらくは平年並みまでも下がらない予報です(図4)。

図4 福岡の最高気温と最低気温(1月19~26日は気象庁、1月27日~2月3日はウェザーマップの予報)
図4 福岡の最高気温と最低気温(1月19~26日は気象庁、1月27日~2月3日はウェザーマップの予報)

来週は早めの菜種梅雨?

 季節の変わり目には、日本付近で前線が停滞しやすくなり、雨や曇りの日が続きます。

 春と夏の間は「梅雨」、夏と秋の間は「秋雨(秋霖)」、秋と冬の間は「山茶花梅雨」、冬と春の間は「菜種梅雨」です。

 例年の菜種梅雨は、文字通り、菜種の咲くころ(3月中旬から4月中旬)の現象ですが、今週末から来週は、菜種梅雨を思わせるような天気となります。

 図5は、東京の16日先までの予報ですが、1月25日から1月31日と2月2日には傘マークがついていますし、1月27日には雪ダルママークもついています(図5)。

図5 東京の16日先までの天気予報
図5 東京の16日先までの天気予報

 雨や雪が降る可能性がある曇りを示す黒雲マークは、1月23日から2月2日までの11日間連続です。

 降水の有無の信頼度が5段階で一番低いEや二段目に低いDが混在している予報ですが、冬晴れは期待できない予報です。

 来週は雨や曇りの日が連続するという予報は、沖縄や西~東日本でも見られますが、北海道は違います。

 雪不足で雪まつり等のイベント開催が危ぶまれている北海道は、黒雲マークや雪ダルママークの日がありますが、雨や雪の可能性が少ない曇りを示す白雲マークや、お日様マークが多く、まとまった雪が降る気配はなさそうです(図6)。

図6 札幌の16日先までの天気予報
図6 札幌の16日先までの天気予報

 今冬は、季節が早く進んでいる印象があります。

 例年とは違うということで、最新の気象情報に注意してください。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図3、図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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