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札幌は少雪でも根雪の始まりは早かった

饒村曜気象予報士
枝に輝く雪解け水滴(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

根雪

 根雪は、雪が降り積もった後に雪融けの季節まで雪が地面を覆う状態のことですが、気象庁では、これを「長期積雪」と呼んで、定義をきめています。

 気象庁の定義では、観測点における積雪が30日以上継続した状態のことをいいます。

 ただ、5日間以内の無積雪期間があっても、次に10日以上にわたる積雪期間があれば、積雪が継続したとみなしています。

 そして、長期積雪(根雪)の初日は冬の訪れの時期の指標に、長期積雪(根雪)の終日は春の訪れの時期の指標に使っています。

 このような定義で、根雪の初日をみると、北に位置する寒い地方ほど早く、札幌では12月4日が平年値です(図1)。

図1 北海道の長期積雪(根雪)初日の平年値
図1 北海道の長期積雪(根雪)初日の平年値

 普通の年ですと、初雪や積雪の初日があっても、雪はすぐに融け、1ヶ月くらい後になってから積もる雪が、本格的な冬の訪れを告げる長期積雪(根雪)となります。

今冬の北海道は早い冬の訪れ

 全国的には暖かい秋でしたが、北海道では11月中旬から周期的に寒気がおりています。

 札幌では、11月7日に平年より10日遅い初雪が降り、11月14日に平年より6日遅い積雪の初日を観測しています。

 そして、初雪から約半月後の11月25日に降った雪が長期積雪(根雪)の初日となっています。

 平年より9日も早く、今冬の北海道は早い冬の訪れでした。

 (直近の10年間では半分の5年が11月中の長期積雪(根雪)初日です。)

 しかし、その後は積雪が増えず、平年値を大きく下回っています(図2)。

図2 札幌の積雪
図2 札幌の積雪

 昨冬も雪が少なかったのですが、今冬は、もっと少なく、記録的となっています。

 冬の訪れは早かったのですが、厳しい寒さにはいたらず、雪が少ないまま経過しているというのが今冬の特徴です。

 積雪の少なさは札幌だけではありません。

 東北の一部や北海道の標高の高いところを除いて、ほぼ全国的に平年の40%以下の積雪しかありません(図3)。

図3 積雪の平年比(1月10日18時現在)
図3 積雪の平年比(1月10日18時現在)

今後もしばらくは少雪

 今後もしばらくは冬型の気圧配置とならず、寒気が南下してこない見込みです。

 1月11日(土)は、北日本や北陸で雲が多く、雪や雨が降る所がある見込みですが、最高気温は、全国的に平年並みか平年より高い予報となっています。

 北海道の山沿いを除いて氷点下ではありません(図4)。

図4 予想最高気温(1月11日の予想)
図4 予想最高気温(1月11日の予想)

 また、札幌の気温予報のように、多くの地点では、最高気温が平年より気温が高い日が続き、寒気が南下してきて気温が下がっても、ほぼ平年並みの気温の予想です。

 最低気温に至っては、寒気が南下してきても平年より高い気温の予想です(図5)。

図5 札幌の1月の最高気温と最低気温(1月11~17日は気象庁、18~26日はウェザーマップの予報)
図5 札幌の1月の最高気温と最低気温(1月11~17日は気象庁、18~26日はウェザーマップの予報)

 このため、雪解けが進みますので、積雪はなかなか増えません。

 雪は多く降っても困りますが、少ないと春先の農業で水が一番必要な時の水不足の懸念があります。

 山の積雪は、春先に溶けて水を供給してくれるという、ダムの役割をしているからです。

 雪はほどよく降り、ほどよく積もって欲しいものです。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:ウェザーマップ提供。

図5の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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