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札幌の少ない積雪量と大晦日の大荒れ

饒村曜気象予報士
日本の夜明け(令和元年(2019年)12月29日7時10分)

年末は高気圧と低気圧が交互

 令和元年(2019年)の12月は、西高東低の冬型の気圧配置が長続きせず、高気圧と低気圧が交互に通過し、大きな気温変化で経過してきました。

 年末の29日(日)も、北日本を中心に寒気が南下したあと、大きな移動性高気圧に覆われます(図1)。

図1 地上天気図(12月29日3時)
図1 地上天気図(12月29日3時)

 西~北日本の広い範囲で晴れ、最高気温は、北海道で平年より低い他は、平年並みか高い予想です。

 しかし、中国大陸に発生した低気圧が、前線を伴いながら日本海北部を通過し、また、東シナ海でも別の前線が発生する見込みです。

 このため、29日(日)の午後は西日本から雲が広がり、九州は昼過ぎには雨の降り出す所がある見込みです。

 中国や四国でも夜になると雨が降るでしょう。

 30日(月)から31日(火)は、北海道を前線を伴った低気圧が通過するため、全国的に雨となり、北海道まで暖気が入って、この季節としては暖かくなります(図2)。

図2 予想天気図(12月30日21日の予想)
図2 予想天気図(12月30日21日の予想)

 札幌の30日(月)の天気予報は「曇りのち一時雨」です。雪ではありません。

 年末に雨が降る気温となった後、正月三が日は気温が急降下し、最高気温が0度未満という真冬日が続きます(図3)。

図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月29日~~1月4日は気象庁、1月5日~13日はウェザーマップの予報)
図3 札幌の最高気温と最低気温の推移(12月29日~~1月4日は気象庁、1月5日~13日はウェザーマップの予報)

大晦日の大荒れ

 オホーツク海で低気圧が発達する大晦日の31日(火)から元日の1日(水)は、北日本を中心に暴風が吹き、大荒れの天気となります。

 北海道では、暴風警報発表の可能性が「高」のところがあります(図4)。

図4 暴風警報の発表可能性(12月31日~1月1日)
図4 暴風警報の発表可能性(12月31日~1月1日)

       

(注)この図4は、12月29日12時に新しいものに差し替えたものです(出典は同じです)。

 図5は、1月1日(水)6時までの72時間予想降雪量ですが、北日本から北陸の山沿いを中心に50センチを超えています。

図5 72時間予想降雪量(1月1日6時まで)
図5 72時間予想降雪量(1月1日6時まで)

 ただ、この降雪量のほとんどは、31日(火)6時から1日(水)までの24時間に降るもので、それまでは雨として降ります。

 そして、正月三が日は、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置が強まりますので、北日本から北陸の降雪が続く予報です。

札幌の積雪

 令和元年(2019年)12月の札幌は、雪の量はかなり少なく経過しており、最深積雪は12月28日(土)の17センチが記録でした。

 31日(火)の降雪で、この17センチを上回る可能性もありますが、もし、17センチであれば、平成5年(1993年)の16センチ以来、26年ぶりの少なさとなります(図6)。

図6 札幌の12月の最深積雪の推移(昭和36年(1961年)~令和元年(2019年))
図6 札幌の12月の最深積雪の推移(昭和36年(1961年)~令和元年(2019年))

 札幌の積雪の記録は、明治23年(1890年)12月からあります。

 この129年の観測で、12月で一番積雪が多かった上位10年を調べると、一番多かったのは昭和13年(1938年)の120センチ、次に多いのは大正11年(1922年)の118センチです。

 ただ、近年は、12月に積雪が多い年が増えており、平成の30年間で12月の最深積雪の上位10位に入っているのが4年もあります。

 気温が高くなると、大気中に含むことができる水蒸気量が増えますので、降雪量が多くなります。

 しかし、気温が高くなりすぎると、雪ではなく雨で降ります。

 一般的には、北日本では気温が上がることで降雪量が増え、北陸地方では気温が上がることで雨として降ることが多くなって降雪量が減ります。

 温暖化が進むと、多雪地帯は北へ移動しますので、いままでとは違った雪対策が必要となります。

 とはいえ、降雪は年によって大きな差がありますので、対策が一筋縄ではゆきません。

タイトル画像、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図6の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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