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台風21号が北上中 東シナ海で発生する低気圧に要注意

饒村曜気象予報士
北上中の台風21号の雲(10月22日15時)

台風21号の北上

 非常に強い台風21号が北上中です。

 台風が発達しているかどうかは、台風の目を見ればわかります。

 目がはっきりしない台風より目がはっきりした台風が、また、に目がはっきりした台風でも、大きい目より小さい目のほうが発達しています。

 マリアナ諸島を北上中の台風21号は、22日(火)のお昼過ぎから、はっきりした小さな目を持つようになりましたので、非常に強い台風です(タイトル画像参照)。

 台風は今後も発達しながら北上し、23日(水)には猛烈な勢力で小笠原近海まで進む見込みです。小笠原諸島では、24日(木)は猛烈な風が吹いて猛烈なしけとなる見込みです。暴風やうねりを伴った高波に厳重に警戒してください。

 また、台風はその後も北上を続け、週後半には本州に近づくおそれもあります(図1)。

図1 台風21号の進路予報(10月22日21時の予報)
図1 台風21号の進路予報(10月22日21時の予報)

 台風予報は、最新のものをお使いください。

短い晴れ間

 台風20号から変わった低気圧が日本の東海上に去り、そのあとを高気圧が張り出してきましたので、23日(水)は全国的に概ね晴れの天気となっていますが、九州南部では夕方から雨の見込みです。

 そして、この雨は次第に強くなって東へ広がる見込みですので、台風20号一過の晴れ間は1日だけです。

 これは、東シナ海で低気圧と秋雨前線が発生し、これに向かって台風21号からの暖かくて湿った空気が流入するからです(図2)。

図2 予想天気図(10月24日9時の予想)
図2 予想天気図(10月24日9時の予想)

 風と雨の分布予報から、すぐわかるように、台風21号が小笠原近海を北上しているときに、九州では低気圧により雨や風が強くなっています(図3)。

図3 雨と風の分布予報(10月24日9時の予想)
図3 雨と風の分布予報(10月24日9時の予想)

 そして、台風21号からの湿った暖かい空気の流入により雨は強まりながら東へ広がります。

 気象庁では、5日先までに警報級の現象が起きる可能性を、「高」と「中」で予報する早期注意情報を発表しています。

 この早期注意情報によると、25日(金)は、東日本から西日本にかけて、大雨警報を発表する可能性が「中」となっています(図4)。

図4 大雨の早期注意情報(10月25日に大雨警報が発表となる可能性)
図4 大雨の早期注意情報(10月25日に大雨警報が発表となる可能性)

 台風21号が、日本の東海上を北上する可能性が高くなったといっても、その動向によっては、低気圧や前線を刺激して大雨をもたらす可能性がありますので、油断できません。

タイトル画像、図1、図3、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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