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ようやく秋の気温の訪れも、台風の北上に注意

饒村曜気象予報士
日本付近の雲と地上天気図(9月17日18時)

関東の天気

 関東地方は、高気圧からの寒気と、南岸に停滞していた前線上に発生した低気圧による雨で、ようやく秋の気温となっています(図1)。

図1 予想天気図(9月18日9時の予想)
図1 予想天気図(9月18日9時の予想)

 日本付近の9月18日9時の雨と風の分布予報をみると、ほぼ東西に延びている雲の帯の中で、紀伊半島の南海上に風が渦をまいています(図2)。

図2 日本付近の雨と風の予想(9月18日9時の予想)
図2 日本付近の雨と風の予想(9月18日9時の予想)

 この時刻における低気圧の位置が、紀伊半島の南海上ということになります。

 この低気圧が東進して東海から関東に雨を降らせますが、雨の中心は千葉県です(図3)。

図3 被災地である千葉県・木更津の時系列予報
図3 被災地である千葉県・木更津の時系列予報

 何が起きるのかわからずに発生した一次災害と違って、二次災害として何が起きるのか予測できます。

 被災したなかで行う防災活動には困難を伴っていますが、二次災害は防ぐことができる災害です

 台風15号の大災害からの復旧が遅れている千葉県は、二次災害がおきやすい状態が続いています。

 最新の気象情報に注意し、防災活動で二次災害を防いで欲しいと思います。

東京の気温変化

 東京では、9月17日(火)の最高気温が31.1度で真夏日(最高気温が30度以上の日)になりましたが、18日の最高気温の予想が22度となっています。

 平年より4度も低くなり、暑さに慣れた体には、非常に寒く感じると思いますが、翌日、18日は平年より2度高くなるなど、平年値を挟んでの寒暖です(図4)。

図4 東京の8月と9月の最高気温と最低気温(9月18~24日は気象庁、9月25~27日はウェザーマップの予報)
図4 東京の8月と9月の最高気温と最低気温(9月18~24日は気象庁、9月25~27日はウェザーマップの予報)

 東京では、9月に入っても、上旬に最高気温が35度以上の猛暑日があったり、中旬にも最高気温が30度以上の真夏日があったりと、厳しい残暑が続いていましたが、9月18日以降は真夏日には達しない予報です。

 ここへきて、ようやく秋の気温になったと言えそうです。

 各地の週間天気予報でも、沖縄の連日の最高気温30度をのぞくと、最高気温が30度を超す日がほとんどありません。札幌では最高気温が20度を切るようになってきました(図5)。

図5 各地の週間天気予報(気象庁発表、数値は最高気温)
図5 各地の週間天気予報(気象庁発表、数値は最高気温)

熱帯低気圧の動き

 ようやく秋の気温が訪れたといっても、気になることがあります。

 それは、沖縄の南海上の熱帯低気圧です。

 この熱帯低気圧は、現時点で、雲の渦の中心付近に発達した積乱雲はなく、すぐには台風に発達することもなく、ゆっくり北上中です。

 しかし、日本の南海上の熱帯低気圧が発達しながら北上し、9月20日21時には、南西諸島に強い雨と風をもたらしそうです(図6)。

図6 雨と風の予想(9月20日21時の予想)
図6 雨と風の予想(9月20日21時の予想)

 この熱帯低気圧が発達して台風になるかどうか、台風になったらどのような動きをするのかは、現時点でははっきりしていません。

 もし、発達して台風となり、北上して東シナ海から日本海に進んだ場合は、再び日本に暖気を持ち込み、天気予報を覆す可能性もあります。

 各地の秋分の日を含む三連休の天気は、沖縄の南海上の熱帯低気圧の動向によって大きく変わります。

 最新の気象情報の入手に努め、熱帯低気圧の動向に注意が必要です。

タイトル画像、図2、図3、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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