令和元年は今のところ歴代3位の台風上陸率
台風12号
令和元年(2019年)8月27日9時に、フィリピンの東海上で台風12号が発生しました。
台風の中心から500キロ以内では、風速が15メートル以上の強風が吹いているため、大型の台風です(強風域の半径が500~800キロが大型で、800キロ以上が超大型)。
大型の台風12号は西進を続け、28日には南シナ海に入って発達し、インドシナ半島に向かう予報となっています(図1)。
平成31年・令和元年の台風12号の発生が8月下旬ということは、平年に比べて2個ほど少ない発生ペースです。
しかし、上陸数はすでに3個と、平年の2.7個を上回っています(表)。
台風上陸率
気象庁では、台風の気圧が一番低い場所が、九州・四国・本州・北海道の上にきたときを「台風上陸」といいます。島の上の通過や、岬を横切って短時間で再び海に出る場合は上陸ではありません。
台風の上陸数を台風の発生数で割ったものを台風上陸率と呼ぶことがあります。
台風の定義が「中心付近の最大風速が毎秒17.2メートル以上の熱帯低気圧」と決まった昭和26年(1951年)以降の台風上陸率を求めたのが図2です。
なお、図2は、昭和26年(1951年)から昭和55年(1980年)までと、昭和56年(1981年)から平成30年(2018年)までにわけてあります。
平年値であれば、0.11(25.6分の2.7)と、台風が10個発生したら1個上陸するくらいの台風上陸率です。
平成31年・令和元年(2019年)は、いまの所、12個発生して3個上陸ですから、台風上陸率は、0.25(12分の3)となり、平年値に比べると、かなり高い割合で台風が上陸していることになります。
いまの所、平成16年(2004年)の0.35、平成10年(1998年)の0.26に次ぐ、歴代3位の上陸率です。
上陸率が一番大きい平成16年(2004年)は、台風の上陸数が10個と記録的に多かった年ですが、台風発生数は29個と平年より若干多かっただけです。
このため、台風上陸率は0.35と極端に大きくなっています。
台風上陸率の傾向
近年、台風上陸率が大きい年と少ない年が極端になる傾向があります。
昭和55年(1980年)までは、台風上陸率が0.00の年がありませんでした。
つまり、毎年1個は台風が上陸していました。
また、一番大きい年が昭和29年(1954年)の0.24でした。
昭和56年(1981年)以降では、平成16年(2004年)の0.35と非常に大きい年もあれば、平成20年(2008年)など4個の年で台風が1個も上陸しなかったため、台風上陸率が0.00となっています。
気象の分野では、いろいろなところで極端な現象が増えていると言われていますが、台風上陸率でも、同じようです。
平年並みであれば、9月以降に10個は台風が発生しますので、台風上陸率がこれまでのように0.2を超えているなら、あと2個は台風が上陸することになります。
まもなく9月ですが、台風シーズンは9月も10月も続きますので、引き続き、台風の動向に注意が必要です。
タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。
図1の出典:気象庁ホームページ。
図2、表の出典:気象庁ホームページ資料をもとに著者作成。