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梅雨末期は気温が高い分だけ雨が多い

饒村曜気象予報士
夕方の集中豪雨の暗雲(写真:GYRO PHOTOGRAPHY/アフロイメージマート)

梅雨の戻りと梅雨の中休み

 令和元年7月7日現在、梅雨明けをしているのは沖縄だけで、平年では6月29日に梅雨明けをしている奄美(名瀬)も梅雨が明けていません。

 先週までの予報では、梅雨前線が沖縄付近まで南下して梅雨の中休み(沖縄では戻り梅雨)になったのち(図1)、梅雨前線が北上して西日本に停滞し、平年より13日遅い7月11日頃に奄美で梅雨明けとみられていました。

図1 予想天気図(7月9日9時の予想)
図1 予想天気図(7月9日9時の予想)

 しかし、新しい予報では、梅雨前線の北上は大きくなく、奄美は11日に晴れる予報となっていますが、それ以降の日にも傘マークがついています(図2)。

図2 各地の10日間予報
図2 各地の10日間予報

 北上してきた梅雨前線が奄美付近でいったん停滞し、それから北上する模様で、奄美での梅雨明けは、11日よりさらに遅れるみこみです。

 週半ばになると、梅雨前線は西日本で停滞し、梅雨のない北海道と、梅雨明けの沖縄を除く、ほぼ全国で雨の日が続きます。

 梅雨末期豪雨に注意が必要な一週間になりそうです。

梅雨末期豪雨

 大気が含むことができる最大の水蒸気の量は、気温によって異なり、気温が高くなるほど多くなります。

 このため、気温が高い梅雨末期には豪雨があります。

 「梅雨末期豪雨に警戒」は、毎年のことで、梅雨明けまでは油断できません。

 東京の6~7月の最高気温と最低気温をみると、7月1日以降は最高気温、最低気温ともに平年を下回っていたのですが、7月21日以降は平年を上回る予報です。

図3 東京の最高気温と最低気温の予報(6月~7月、7月8日以降はウェザーマップの予報)
図3 東京の最高気温と最低気温の予報(6月~7月、7月8日以降はウェザーマップの予報)

 そして、かなり先で精度が悪いのですが、21日頃からは最高気温が30度を超え、梅雨明けを思わせる気温になります。

 もう少し詳しく東京の16日先までの予報をみると、20日に白雲(雨の心配がない曇り)マークがありますが、降水の有無についての信頼度は、5段階評価で一番悪いEです。

 そして、21日、22日は晴れマークと黒雲(雨の可能性がある曇り)マークがついていますが、降水の有無についての信頼度は、5段階評価で一番悪いEです。

 関東甲信の梅雨明けは平年では7月21日ですが、これより1日早い20日か、1日遅い22日かになりそうで、いずれにしても、梅雨明けまで約2週間です。

図4 東京の16日先までの天気予報
図4 東京の16日先までの天気予報

 関東甲信の梅雨明けのころ、各地でも梅雨が明けそうですが、その前に、まず今週の半ばです。

 今週の半ばは、ほぼ全国的に雨となり、大雨の可能性もありますので、最近の気象情報の入手に努め、早め早めの対応をお願いします。

図1の出典:気象庁ホームページ。

図2、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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