続くことで危険性が増している九州の豪雨

衛星画像から見た九州南部の豪雨をもたらしている積乱雲(7月1日6時)

活発な梅雨前線

 梅雨前線が活発になり、九州を中心として豪雨となっています。

 6月28日から7月1日までの4日間の総降水量は、宮崎県えびので752.5ミリを観測するなど、九州南部では400ミリを超える地点が少なくありません(図1)。

図1 4日間降水量(6月28日~7月1日)
図1 4日間降水量(6月28日~7月1日)

 そして、さらに7月2日から4日までの3日間の予想降水量は、東海から近畿、中国地方では100ミリ以上、四国では200ミリ以上、そして九州では400ミリ以上(最大は550ミリ)の雨が予想されています(図2)。

図2 予想3日間降水量(7月2日~4日)
図2 予想3日間降水量(7月2日~4日)

 つまり、九州の一部では総雨量が7月4日の時点で1000ミリを超えそうです。

 年間降水量の半分以上が、1週間で降ることになりますので、厳重な警戒が必要です。

豪雨の原因

 九州で、このような豪雨となっている原因の一つは、梅雨前線が九州付近からあまり南北方向に動かないことです。

 停滞前線である梅雨前線は、もともと南北方向の動きが大きくないのですが、それでも多少は南北方向に動き、長期間にわたって同じ場所で雨が降り続くということはあまりありません。

 予想天気図で見ても、7月2日、3日とほぼ同じ位置に梅雨前線があります(図3)。

図3 予想天気図(左は7月2日9時、右は3日9時)
図3 予想天気図(左は7月2日9時、右は3日9時)

 加えて、太平洋高気圧の縁辺を回るように暖かくて湿った空気が、九州に流入しやすい状況が続いているからです。

 ただ、太平洋高気圧の縁辺の、暖かくて湿った空気の本体は、フィリピンの東海上から中国大陸へ向かっており、そこには熱帯低気圧があります(図4の丸印)。また、南シナ海にも熱帯低気圧があり、台風に発達する見込みです(図4の二重丸印)。

 太平洋高気圧の勢力が、少し東に後退したなら、暖かくて湿った空気の本体や、南シナ海の雨雲が西日本に流入してくる可能性があり、もっと激しい豪雨の可能性もあります。

図4 気象衛星画像(7月1日15時)
図4 気象衛星画像(7月1日15時)

九州南部は15日まで連続して雨の予報

 九州では、「年間降水量の半分以上が1週間で降る」といっても、7月4日までの話です。

 九州南部では、傘マークや黒雲(雨が降りそうな曇り)マークの日が16日まで続く予報です。

 宮崎の16日先までの予報では、7月15~16日の信頼度が5段階のうち一番低いEですが、2~7日及び11日の信頼度が一番高いAです(図5)。

図5 宮崎の16日先までの天気予報
図5 宮崎の16日先までの天気予報

 しばらく雨が続くという予報については、信頼度が高いと考えられます。

土砂災害警戒情報は深層崩壊と地滑りが対象ではない

 雨が降り続くと、土中の水分が増え、山崩れなどの土砂災害が発生しやすくなります。

図6 土壌雨量指数(7月1日22時10分)
図6 土壌雨量指数(7月1日22時10分)

 これまでの雨で、九州南部の土の中の水分量(土壌雨量指数)は、非常に多いから極めて多いになっており、大雨でなくても雨が続けば、なかなか危険な状態を脱しません。

 そのような状態のときに豪雨が重なると、土壌雨量指数は一気に上がって、土砂災害の危険性が高まりますので、雨が続くというだけでも注意が必要です。

 記録的な雨が降ると、山の表面が崩れる表層崩壊だけでなく、山全体が深く崩れる深層崩壊が起きます。

 土砂災害のうち、深層崩壊は、めったに発生しませんが、地滑りと同じく、強い雨が降った時間とは直接的な関係がないことがあります。

 このため、強い雨との関係で発表している「土砂災害警戒情報」の対象外です。

 土砂災害警戒情報は、「土砂災害全体に対して警戒を呼び掛ける」のではなく、「深層崩壊と地滑りを除いた土砂災害に対して警戒を呼び掛ける」ものです。

 記録的な豪雨が降った後は、何が起こるかわからないというくらいの用心さで警戒を続けることが大事です。

タイトル画像、図1、図2、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:ウェザーマップ提供資料に著者加筆。