令和初の台風3号は韋駄天台風、温低化して発達

気象衛星から見た令和初の台風(6月27日18時)

セーパットという名前の台風3号

 令和初の台風が、6月27日18時に高知県室戸岬の南南西の海上で誕生しました(タイトル画像)。

 平成31年(2019年)に台風が2個発生していますので、これを引き継ぎ、令和元年(2019年)で最初に発生した台風ですが、台風3号です。

 この台風3号には、「セーパット」という国際名がついています。

 台風の国際名は、北西太平洋の海域内にある14か国・地域からなる政府間組織、「台風委員会」で決定されます。

 それぞれの国・地域から10個ずつ出し合い、合計140個の名前の表が作られています。日本は、カジキ、クジラ、トカゲなど、気象と関係が深い船乗りが注目していた星座名を10個提出しています。

 そして、平成12年(2000年)から、台風委員会が作成した台風の国際名の表に従って、発生順に名前が付けられています。

 令和最初の台風3号は、たまたま、マレーシアが提案した「セーパット」となりました。意味は淡水魚です。

海面水温が比較的低い海域で発生

 台風のエネルギー源は、水蒸気が凝結して雲ができるときに発生する熱(潜熱)ですので、水蒸気が豊富な海面水温が高い海域で発達します。

 台風が発達する海面水温の目安は、26度以上といわれていますが、台風3号が発生した海域の海面水温は25~26度とギリギリでした(図1)。

図1 日本近海の海面水温(令和元年(2019年)6月26日)
図1 日本近海の海面水温(令和元年(2019年)6月26日)

 ただ、台風が発達しやすいといわれている黒潮が流れている海域でした。

 黒潮は、海面付近だけでなく、海中も暖かいということから、同じ海面水温でも、より台風に水蒸気を補給すると考えられます。

6月の台風

 資料は少し古くなりますが、以前に、昭和26年(1951年)から昭和52年(1977年)の資料を用いて、台風について調べたことがあります。

 6月に日本に接近する台風は、東シナ海を北上して日本海に入るものや、沖縄近海から四国沖を東進するもの、日本の南海上を北上して八丈島付近を通過するものに分けることができます(図2)。

図2 6月の台風の平均経路(数値は空間平均した存在数)
図2 6月の台風の平均経路(数値は空間平均した存在数)

 令和元年(2019年)の台風3号は、沖縄近海から四国沖を東進しており、過去の例に似た動きをしました。

 ただ、速度が速いという特徴があります。

 これも、私の過去の調査ですが、6月に北緯30度付近を北東から東へ進む台風の平均時速は35キロです。真夏の時速15キロよりは速いのですが、令和の台風3号は時速50キロで、さらに加速する予報です(表)。

表 北緯30度付近を北東から東へ進む台風の平均速度(時速)
表 北緯30度付近を北東から東へ進む台風の平均速度(時速)

 速度が速くなるということは、台風が温帯低気圧に変わるときの特徴の一つです。

 令和元年(2019年)の台風3号は、発生と同時に、24時間以内に温帯低気圧に変わると予想された、短命の台風です(図3)。

図3 台風3号の進路予報(6月28日3時を初期値とした予報)
図3 台風3号の進路予報(6月28日3時を初期値とした予報)

 台風の進路予報は、常に最新のものを使ってください。

 台風が温帯低気圧に変わるということは、構造が変わるということで、勢力が衰えることではありません。

 令和元年(2019年)の台風3号も、6月28日15時に日本の東海上で温帯低気圧に変わるといっても、中心気圧は990ヘクトパスカル、最大風速は毎秒23メートルと、台風であるときよりも発達しています。

 台風は、最後まで油断できません。「腐っても鯛(台風)」です。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図3の出典:気象庁ホームページ。

図2、表の出典:饒村曜・宮沢清治(昭和55年(1980年))、台風に関する諸統計、研究時報、気象庁。