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天気は周期変化になっても、天気予報は難しい

饒村曜気象予報士
東京スカイツリーを観光する外国人(写真:アフロ)

小さな移動性高気圧

 西高東低の冬型の気圧配置から、低気圧と高気圧が交互に通過する春の天気図となってきました。

 ただ、高気圧の規模が小さく、低気圧も発生初期ではっきりしないことが多く、天気が周期変化するようになったといっても、天気予報が難しくなっています。

 2月24日(日)は、移動性高気圧が通過するため、ほぼ全国的に晴れといいたいところですが、高気圧の規模が小さいため、高気圧の南側にあたる南西諸島では雨が降っています。

 また、九州南部や東海地方は気圧の谷(気圧が低い領域で低気圧にほぼ相当)の影響で雲が多く、九州南部では午前中から雨、東海地方でも夕方から夜にかけて雨の降る可能性があります(図1)。

図1 小さな移動性高気圧の通過(2月24日3時の地上天気図)
図1 小さな移動性高気圧の通過(2月24日3時の地上天気図)

 また、北海道でも気圧の谷の影響で、夜は雪が降る可能性があります。

 さらに、低気圧も日本を通過後に発達するのですが、日本を通過中は低気圧の発生初期ではっきりしません(図2)。

図2 予想天気図(2月25日21時の予想)
図2 予想天気図(2月25日21時の予想)

 高気圧の規模が小さく、低気圧も発生初期ではっきりしないということは、週間天気予報が難しいことを意味します。

 高気圧や低気圧のちょっとした発達ぐあいの差、あるいは低気圧通過のタイミングのちょっとした差で天気が大きく変わるからです。

週間天気予報

 週間天気予報によると、週明けの25日(月)は低気圧が発達しながら南岸を通過するため、関東から東海地方では雨の予想です。

 しかし、週明けの雨については、天気予報が頻繁に変わっており、2月20日に発表した週明けの予報では「曇りで日もさす」というものでした(図3)。

図3 2月25日から27日までの天気予報の推移
図3 2月25日から27日までの天気予報の推移

 これは、低気圧の通過のタイミングと低気圧の発達の度合いの予想が、新しい観測資料を入れて計算するたびに変わっているからです(図4)。

図4 2月28日の予想天気図の推移
図4 2月28日の予想天気図の推移

 このように、高気圧の規模が小さく、低気圧も発生初期ではっきりしないときは、週間天気予報が難しいときなので、常に最新の予報でチェックが必要です。

 最新の週間天気予報では、週明けの関東・東海地方の雨に続いて、2月最後の28日(木)にも、発達した低気圧が本州の南岸を通過するため、ほぼ全国的に雨の予報となっています(図5)。

図5 各地の週間天気予報
図5 各地の週間天気予報

 ただ、週間天気予報が難しいときの予報です。

 東京の週間天気予報の信頼度は2月27日A、28日C、3月1日B、同じく、大阪の週間天気予報の信頼度は2月27日A、28日C、3月1日Aとなっています。

 つまり、2月28日の雨は、前後の日に比べて信頼度が低い予報ですので、最新の予報で確認が必要です。

図1、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:ウェザーマップ資料をもとに著者作成。

図4の出典:気象庁資料より。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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