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寒い冬も今週いっぱいで終わりの気配、今後は寒暖差に注意

饒村曜気象予報士
弱い冬型の天気図と気象衛星(2月14日18時)

極渦

 北極では、年間を通して上空に極渦と呼ばれる低気圧ができています。これは北極の気温が低く、北極に向かって気温が低下することからできています。

 極渦は、極夜と呼ばれる太陽が全く当たらない冬になると著しく冷えて、非常に冷たい空気の塊ができます。

 今年、平成31年(2019年)は、この非常に冷たい空気の塊である極渦が2つに分裂し、大規模にアメリカ東部とシベリア東部に南下しました。   

 日本の寒波は、シベリア東部に南下した極渦の端ですが、極渦がまともに南下していたら、日本もアメリカ東部のように記録的な寒さとなって大きな被害がでたかもしれません。

寒い冬も終わりの気配

 北日本を中心に、北極からの冷たい空気の一部が流れ込んだため、気温の低い日が続いていましたが、週末からは平年より高くなりそうです(図1)。

図1 札幌の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)   
図1 札幌の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)   

 また、寒暖の差が大きく、平均すれば平年並みだった東日本も、週末からは平年より高くなりそうです(図2)。

図2 東京の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)
図2 東京の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)

 さらに、暖冬が続き、寒波で気温が下がっても平年並みだった西日本も、週末から気温は平年より高くなる見込みです(図3)。

図3 福岡の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)
図3 福岡の2月の気温(15~21は気象庁、22日以降はウェザーマップの予想)

 気象庁では、おおむね毎週月曜と木曜に、情報発表日の5日~14日後までを対象として、異常天候早期警戒情報を発表しています。

 それによると、来週は全国的に気温がかなり高い確率が30%以上あります(図4)。

 寒い冬も今週いっぱいで終わりの気配です。

図4 異常天候早期警戒情報(気象庁ホームページより)
図4 異常天候早期警戒情報(気象庁ホームページより)

注意すべきは寒暖差

 東京では、平成31年(2019年)2月4日の最高気温が19.4度、翌5日の最高気温が8.8度と1日で10度以上下がっています。

 このように、東京で最高気温が翌日に10度以上変化したのは、平成13年(2001年)以降26回ありますが、一番多いのが4月で、次に多いのが5月です(図5)。

図5 東京で最高気温が翌日に10℃以上変化した日数
図5 東京で最高気温が翌日に10℃以上変化した日数

 東京の全ての観測資料をチェックしたわけではないのですが、翌日の最高気温の変化が一番大きなのは、昭和41年(1966年)の15.4度のようです。

 昭和41年(1966年)3月5日の最高気温は低気圧が発達しながら日本海を通過したため南風が強く吹いたことで最高気温が21.6度まで上がり、翌6日は寒冷前線が通過したため寒気が入って最高気温が6.2度までしか上がりませんでした。

 東京に限らず、最高気温が翌日に10℃以上変化するのは、ほとんどが冬の終わりから春のはじめです。

 寒い冬が終わったあとは、寒暖差の大きな季節が来ます。

 寒さ対策をして体調管理に努める季節から、寒暖差対策をして体調管理に努める季節に変わってくることに注意する必要があります。

タイトル画像の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図3、図5の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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