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北日本・東日本・西日本で違う冬の様相

饒村曜気象予報士
地上天気図と気象衛星の雲(2月9日21時)

強い寒気が南下

 北日本に今冬一番の非常に強い寒気がシベリアから南下したため、2月8日9時には札幌の上空約1500メートルで、昭和32年(1957年)の統計開始以来最も低い氷点下24.4度を観測しました。

 このため、北日本を中心として暴風雪となり、札幌では日中の最高気温が氷点下10度を超えませんでした。

 また、北海道の内陸部では翌9日の朝の最低気温は氷点下30度を下回りました。

 しかし、今冬一番の寒気の中心は弱まりながら北海道の東海上に去り、日本列島全体への強い寒気南下はありませんでした。

 上空約5500メートルで気温が氷点下36度以下というのが、大雪となる強い寒気の目安ですが、この温度は東北地方までしか南下していません(タイトル画像参照)。

 とはいえ、寒気が南下していますので、2月10日(日)も、北日本から西日本の日本海側で雪、太平洋側では晴れのところが多くなっています。

 ただ、九州は日本海から雲が流れ込み、曇りとなって所によっては雨または雪になる予想です(図1)。

図1 予想天気図(2月10日21時の予想)
図1 予想天気図(2月10日21時の予想)

建国記念の日の天気

 三連休最後の建国記念の日である2月11日(月)は、九州の気圧の谷は次第にはっきりして西高東低の冬型の気圧配置が崩れてきます(図2)。

図2 予想天気図(2月11日21時の予想)
図2 予想天気図(2月11日21時の予想)

 北日本から西日本の日本海側で雪や雨が続く一方、太平洋側でも雲が多くなり、所によっては、雨や雪が降る可能性があります(図3)。

図3 建国記念の日の天気予報
図3 建国記念の日の天気予報

 関東地方では、三連休初日の9日(土)に雪が降りましたが、三連休の最終日の11日(月)も、9日程の量ではありませんが、雪が降るというのが、現時点での予報です(低気圧が発生する位置や発達の程度によって各地の天気が大きく変わります)。

地方で違う気温変化

 今冬は、北日本は寒い冬、西日本は暖かい冬、東日本は寒暖差が大きいものの平均すると平年並みの気温という傾向があります。

 三連休明け以降、冬型の気圧配置が続いて寒気が南下したり、本州南岸に低気圧が発生して暖気が入ったりしますが、これまでの傾向を引き継いでいます。

 図4~図6は、札幌、東京、福岡の気温変化で、10日から16日は気象庁の予報(10日の最低気温は速報値)、17日以降はウェザーマップの予報です。

 北日本の札幌は、2月の初めに一時的に平年より高くなりましたが、今冬一番の寒気が南下した8日には最高気温が氷点下10.1度までしか上がらないなど、気温は来週になるまで平年値以下で、寒い日が続きます(図4)。

図4 札幌の2月の気温の推移
図4 札幌の2月の気温の推移

 また、東日本の東京も、今冬一番の寒気が南下した9日に最高気温が3.5度までしか上がらないなど、寒くなりましたが、今週末には平年並みの最高気温となります。月初めに暖かい日が続いていますので、平均すると、ほぼ平年並みの気温になります(図5)。

図5 東京の2月の気温の推移
図5 東京の2月の気温の推移

 一方、西日本の福岡は、今冬一番の寒気が南下した9日には最高気温が8.7度までしか上がりませんでしたが、これがほぼ平年並みの気温です。

 2月上旬や、来週以降の気温を考えると、平均すれば、2月も平年より気温が高い月ということができそうです。

図6 福岡の2月の気温の推移
図6 福岡の2月の気温の推移

 今冬は、「エルニーニョ現象が発生しているので暖冬」と言われていましたが、暖冬は西日本だけの現象のようです。

 東日本は平年並みの冬、北日本は平年より寒い冬になりそうです。

タイトル画像、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

図4、図5、図6の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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