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一年前は北陸で豪雪、その時より強い寒気が南下中

饒村曜気象予報士
地上天気図と気象衛星による雲(2月6日21時)

昨年の大雪

 1年前の平成30年(2018年)2月7日、北日本・北陸の上空約5500メートルに、氷点下-39度以下の強い寒気が流れ込み、山陰から北日本の日本海側は雪が続き、山陰から北陸では大雪となりました。

 記録的な大雪となった福井では、最深積雪が140センチを超え、主要国道では、多数のトラック等が雪で立ち往生しています。

 そして、立ち往生している車によって除雪作業が進まないうちに新たな雪が降り積もるという悪循環のために、福井県の物流が長時間ストップするなどの大きな被害が発生しました。

 今年も、シベリアから強い寒気が南下中です。

分裂した極渦が南下

 冬季の北極では、太陽の光が全く当たらないために、非常に寒くなり、北極上空には、極渦と呼ばれる冷たい空気の塊ができます。

 今年、平成31年(2019年)1月末には、この極渦が2つに分裂し、一つはカナダからアメリカ東部に南下しました。

 世界経済の中心であるアメリカ東部では記録的な寒さとなり、発生した大災害の様子や、厳しい寒さの中でしか見られない生活などの情報が数多く世界中に発信されましたが、現在は、分裂した極渦が弱まりながら大西洋に移動しましたので、記録的な寒さは一段落しています。

 分裂した極渦のもう一方は、人口の少ない極東ロシアのバイカル湖付近に南下しましたので、大きなニュースにはなりませんでした。

 しかし、この分裂した極渦が若干弱まりながら北日本に接近中です。

 日本海中部から東北地方に延びる前線や日本の南海上を東進した低気圧が、日本の東海上でまとまって発達し、日本付近は、北日本を中心に西高東低の冬型の気圧配置となって非常に強い寒気が南下してきます(タイトル画像、図1、図2)。

図1 予想天気図(2月8日9時の予想)
図1 予想天気図(2月8日9時の予想)
図2 上空約5500メートルの寒気(2月8日9時の予想)
図2 上空約5500メートルの寒気(2月8日9時の予想)

 今冬一番ともいえる強い寒気が南下しますので、北日本を中心に暴風雪などに警戒が必要です。

札幌で最高気温が氷点下10度?

 上空に強い寒気が入る北日本では、非常に寒くなります。札幌の2月8日(金)の最高気温の予想は氷点下9度です。

 札幌の誤差幅を考慮した最高気温の予報は、氷点下10度から氷点下6度ですので、ひょっとしたら、札幌で、最高気温が氷点下10度に達しない可能性や、これまでの記録である氷点下11.7度(昭和12年(1937年)12月27日)にかなり迫るということもありえます(図3)。

図3 札幌の最高気温と最低気温(2月7日以降は週間天気予報による)
図3 札幌の最高気温と最低気温(2月7日以降は週間天気予報による)

東日本にも強い寒気が南下

 今冬の気温は、北日本は平年より低く、西日本は平年より高く、東日本は並だが寒暖差が大きいという特徴があります。

 建国記念の日を含む三連休にかけて南下してくる寒気もこの傾向があります。

 北日本では記録的な寒さとなりますが、西日本では気温が高い状態からほぼ平年並みの気温になるという程度です。

 そして、寒気は東日本までは南下してきます。

 東京では気温が低い日が続き、東京の2月9日(土)の最高気温の予想は4度です。最低気温ではありません。

 東日本でも、寒さに対する備えが必要です(図4)。

図4 札幌と東京の週間天気予報
図4 札幌と東京の週間天気予報

タイトル画像、図2の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図4の出典:気象庁ホームページ。

図3の出典:気象庁資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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