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週末は西~東日本に今冬一番の寒気

饒村曜気象予報士
雪道と除雪車(ペイレスイメージズ/アフロ)

周期的に寒気が南下

 平成31年(2019年)1月は、西高東低の冬型の気圧配置になることが多く、日本海側では雪、太平洋側では晴れの天気となる日が多くなっています。

 ただ、シベリアからの強い寒気の南下は東北地方北部までで、寒いのは北日本だけで、東日本では並みの寒さの冬、西日本では暖冬となっていました。

 しかし、1月26日からの寒気は、西日本にも南下してきます。

 関東の南岸から近畿地方北部まで、大雪の目安となる上空5500メートルで氷点下36度の寒気が入ってきます(図1)。

図1 上空約5500メートルの寒気(1月26日夜)
図1 上空約5500メートルの寒気(1月26日夜)

 このため、1月26日は長野県北部を中心に北陸から山陰まで大雪警報の可能性がありますので、厳重な警戒が必要です(図2)。

図2 大雪警報の可能性(1月26日)
図2 大雪警報の可能性(1月26日)

日本海西部の雲の帯と関東の南海上の雲の帯

 強い寒気が日本海に南下すると、日本海では下層から熱と水蒸気の補給を受けて筋状の雪雲ができます。

 特に、日本海西部では、朝鮮半島北部の白頭山などの山脈で分流した寒気がぶつかって、分厚い雲の列ができることがあります。この分厚い雲の列がかかる日本海側の地方では大雪になります(図3)。

図3 日本海西部と関東南海上の雲の帯(1月25日午後2時)
図3 日本海西部と関東南海上の雲の帯(1月25日午後2時)

 また、南下した寒気に伴う気流は、関東北部の高い山脈を越えにくいので、2つに分かれ、東北地方や濃尾平野の北のやや低い山脈を越えて太平洋側に流れてきます。そして、伊豆半島の南海上で合流し、雲の帯を作ることがあります。

 時には、雲の帯の中に小さな低気圧が発生することがあります(図4)。

 雲の帯が関東地方にかかると、冬型の気圧配置なのに晴れないで雪や雨が降ることもあり、気象予報士泣かせの天気図です。

図4 予想天気図(1月26日9時の予想)
図4 予想天気図(1月26日9時の予想)

地方で異なる今年の冬

 今年、平成31年(2019年)の冬は、地方によって印象の違う冬となっています。

 図5、図6、図7は、札幌、東京、福岡の1月の最高気温と最低気温の推移です(1月25日~31日は気象庁の予報、2月1日以降はウェザーマップの予報)。

図5 札幌の1月の最高気温と最低気温
図5 札幌の1月の最高気温と最低気温

 札幌の1月の最高気温と最低気温は、平年値を挟んで上下しています。

 周期的に寒気が南下し、気温が平年より下がりますが、すぐに気温が平年を上回り、平均すると平年並みに推移しています。

図6 東京の1月の最高気温と最低気温
図6 東京の1月の最高気温と最低気温

 東京の1月の最高気温と最低気温は、正月明けからは気温が平年より低い日が多かったのですが、1月中旬以降は、気温の高い日が続いていました。

 中旬以降は、北日本に寒気が南下しても、東日本までは南下しなかったからです。

図7 福岡の1月の最高気温と最低気温
図7 福岡の1月の最高気温と最低気温

 福岡の1月の最高気温と最低気温は、平年より高い日が続き、寒気が西日本までは南下しなかったことに対応しています。

 前述の予想天気図(図4)では、西日本の等圧線の間隔が狭くなっており、西日本でも強い風が吹き、強い寒気が南下して来ることを示しています。

 週末の寒気は、全国的に暴風や、日本海側の大雪、気温が高い日が続いていた地方では急激な気温変化に注意して下さい。

図1、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図4の出典:気象庁ホームページ。

図5、図6、図7の出典:気象庁資料とウェザーマップ資料をもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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