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平成30年はクリスマスと帰省ラッシュのときに寒気南下

饒村曜気象予報士
女性にクリスマスプレゼントを渡す男性(写真:アフロ)

冬型の気圧配置

 日本の東海上で低気圧が発達し、日本付近は西高東低の冬型の気圧配置となって寒気が南下しています(図1)。

図1 地上天気図と衛星画像(12月18日9時)
図1 地上天気図と衛星画像(12月18日9時)

 日本海には寒気の南下に伴う筋状の雲が発生し、この雲がかかる日本海側の地方では、雨か雪となっており、太平洋側の地方では晴れています。

 大雪の目安となる、日本上空約5500メートルで氷点下36度以下の寒気は、津軽海峡まで南下し、平地でも雪である目安の氷点下30度の寒気は関東南岸から近畿北部まで南下しています(図2)。

図2 上空5500メートルの気温分布(12月18日夜)
図2 上空5500メートルの気温分布(12月18日夜)

 これまでの寒気南下は、下層だけの寒気南下でしたが、今回の寒気南下は、上層の寒気も南下ですので、大気が不安定となり、これまで以上に日本海側の沿岸部を中心に発雷をしました。

 しかし、この冬型の気圧配置は長続きせず、大陸の高気圧が移動性高気圧となって本州の南海上を東進し、その後南から暖気が入ります(図3)。

図3 予想天気図(12月19日9時と20日9時の予想)
図3 予想天気図(12月19日9時と20日9時の予想)

 東シナ海には停滞前線ができ、低気圧が発生して全国的に曇りや雨の天気になるかもしれません。そして、全国的に暖かい1週間となりそうです。

次の寒気

 次の寒気の南下は約1週間後のクリスマスの頃です(図4)。

図4 上空5500メートルの気温分布(12月24日夜)
図4 上空5500メートルの気温分布(12月24日夜)

 ただ、南下のタイミングや南下の程度については不確実性が大きく、ちょっとしたことで予報が大きく変わる難しいケースです。

 クリスマスイブやクリスマスの日にいろいろなイベントを計画している、あるいは、楽しもうとしている人が多いと思いますが、最新の気象情報の入手に努め、安全で楽しく、大いに盛り上がってください。

次の次の寒気

 クリスマスの頃の寒気南下に続く寒気南下は、12月28日の帰省ラッシュの頃です(図5)。

図5 上空5500メートルの気温分布(12月28日夜)
図5 上空5500メートルの気温分布(12月28日夜)

 多くの人が移動することから気象の影響を最も受けやすい時期に、今冬一番かもしれない強い寒気が南下する可能性があります。

 クリスマス寒波や年末寒波という言葉があるように、クリスマスの頃や年末に寒波がやってくるときは、影響が大きくなります。

 今年は、クリスマス寒波も、年末寒波もやってきます。

 これから年末にかけ、気象情報に注意し、計画を微修正することが大事です。

 特に、年末年始に冬山登山を計画されているかたは、カレンダー通りに行動せず、山はいつでも待っていますので、柔軟に計画を変更し、安全登山に努めて欲しいと思います。

図1、図2、図4、図5の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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