Yahoo!ニュース

近年は台風上陸が多い 台風24号は今年5個目

饒村曜気象予報士
台風24号の雲と地上天気図(9月30日21時)

台風の上陸

 非常に強い台風24号は、9月30日20時頃に和歌山県田辺市付近に上陸しました(タイトル画像参照)。

 台風12号、15号、20号、21号に続く、今年5個目の上陸です。

 台風の統計がある昭和26年(1951年)以降では、平成16年(2004年)の10個上陸が最多で、次に多いのは、平成28年(2016年)などの6個となりますので、今年、平成30年(2018年)はその次となります。

 台風上陸の平年値は2.7個ですから、平成30年(2018年)は、現時点で、平年の2倍の上陸数ということになります。

 また、非常に強い勢力での上陸は、9月4日に徳島県南部に上陸した台風21号に続き2個目ということになります。非常に強い勢力での台風上陸自体が珍しく、台風21号のときは、平成5年(1993年)の台風13号以来、25年ぶりと騒がれました。もちろん、1年で2個の非常に強い台風の上陸は、初めてということになります。

 台風上陸地点に近い和歌山県御坊の潮位観測では、2メートル70センチくらいの高潮を観測し、潮位は、過去最高の潮位を大きく上回りました(図1)。

図1 台風上陸地点に近い和歌山県・御坊の高潮観測
図1 台風上陸地点に近い和歌山県・御坊の高潮観測

 なお、伊勢湾台風以来の高潮が懸念された伊勢湾では、台風の強い風が伊勢湾の奥に向かうものではなかったために、1メートル50センチくらいの高潮で、潮位は高潮注意報基準を超えたものの高潮警報基準には達しませんでした(図2)。

図2 台風24号による名古屋の高潮観測
図2 台風24号による名古屋の高潮観測

台風上陸数の変動

 気象庁では、台風の気圧が一番低い場所が、九州・四国・本州・北海道の上にきたときを「台風上陸」としています。島の上の通過や、岬を横切って短時間で再び海に出る場合は上陸ではありません。

 昭和26年(1951年)から昭和55年(1980年)までの30年間の台風上陸数は、平均が3.0個、最大が5個、最小が1個と、台風が上陸しない年はありませんでした(表)。

表 台風の上陸数の推移
表 台風の上陸数の推移

 しかし、昭和56年(1981年)から平成22年(2010年)までの30年間の台風上陸数は、平均(平年)が2.7個、最大が平成16年(2004年)の10個で、上陸しない年もあります。

 昭和26年(1951年)からの30年間では、上陸数が2~4個(3.0-1.2~3.0+1.2個)であったものが、昭和56年(1981年)からの30年間では1~5個(2.7-2.1~2.7+2.1個)と、年による差が大きくなっています。

 近年、台風の上陸数は、多い年と少ない年が極端になっています。

 そして、平成23年(2011年)以降では、平均が3.8個と台風上陸数が多くなり、5年連続で平年値の2.7個を上回っています。

台風24号を追うように25号が

 台風24号が日本列島に大きな爪痕を残した直後ですが、台風25号が発達しながら台風24号のあとを追うように日本へ接近中です(図3、図4)。

図3 予想天気図(10月1日9時の予想)
図3 予想天気図(10月1日9時の予想)
図4 台風24号と台風25号の進路予報(10月1日0時)
図4 台風24号と台風25号の進路予報(10月1日0時)

 沖縄近海に近づいたあと、このまま西進して中国大陸に向かうのか、北上して日本に接近するのかについては、現時点でははっきりしていません。

 もし、北上した場合は、6個目の上陸台風になるかもしれません。

 今年は10月でも台風シーズンです。来週は、台風25号の動向に注意が必要です。

タイトル画像、図4の出典:ウェザーマップ提供。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

表の出典:著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

饒村曜の最近の記事