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台風23号発生 ほぼ等間隔に並ぶ2つの台風と2つの台風の卵

饒村曜気象予報士
気象衛星の雲画像(2018年9月11日10時30分)

台風23号の発生

 9月11日9時に南シナ海で台風23号が発生し、西へ20キロで進んでおり、ベトナムに向かっています(図1)。

図1 台風23号と台風22号の進路予報(9月11日9時の予報)
図1 台風23号と台風22号の進路予報(9月11日9時の予報)

 9月に入ってすでに2個目の発生と、盛夏期の台風多発傾向(7月5個、8月9個の合計14個発生)が続いています。

 台風の統計がある昭和26年(1951年)以降で盛夏期に14個以上台風が発生した年の9月の発生数は、1994年(盛夏期16個)が8個、1967年(盛夏期16個)が9個、1966年(盛夏期14個)が9個と、いずれの年も、9月の台風発生数が多くなっています。

 現に、日本の南海上には、発生したばかりの台風23号、グアム島付近を通過した台風22号と、その東側に熱帯低気圧まで発達していませんが、積乱雲が多く発生している場所が2か所あります。つまり、2つの台風と2つの台風の卵があり、これらはほぼ等間隔に並んでいます(図2)。

図2 北東太平洋の熱帯擾乱(左から台風23号、台風22号と2つの台風の卵)
図2 北東太平洋の熱帯擾乱(左から台風23号、台風22号と2つの台風の卵)

沖縄接近からバシー海峡通過へ

 日本の南海上で積乱雲が多く発生する状況は盛夏期と似ていますが、図2でもわかるように、積乱雲が多く発生する海域が盛夏期より少し南です。

 台風は積乱雲が多く発生する海域から生まれた熱帯低気圧が発達したものです。したがって、積乱雲が多く発生する海域が低緯度になるということは、台風が発生する海域も低緯度になることにつながります。

 今年の盛夏期の台風は、台風の発生緯度が高く、西進して沖縄に接近するものが多かったのですが、今後は、西進してバシー海峡通過のものが増えてきます。

 日本では台風シーズンの後半ですが、台湾やフィリピンなど、低緯度の国では、これから台風シーズンが始まります。海外旅行を計画されている方は、台風情報の入手に努め、安全な旅を楽しんで下さい。

台風22号の今後

 非常に強い台風22号がマリアナ諸島付近を西に進んでいます。今後、台風22号は猛烈な台風まで発達し、フィリピンの東海上に達し、その後、バシー海峡を通過する見込みです(図3)。

図3 台風22号の5日予報
図3 台風22号の5日予報

台風予報は最新のものをお使いください

 台風22号が予報円の北側を通った場合、沖縄県の先島諸島にかなり接近する見込みですし、台風の北側の雨雲が週末の沖縄本島にかかる可能性もあります。

 安室奈美恵最終コンサートなど、沖縄へ週末に旅行を計画されているかたは、最新の気象情報の入手に努めてください。

タイトル画像、図1、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図2の出典:気象庁ホームページ。

平成30年7月豪雨による大雨被害に対して、緊急災害支援募金(Yahoo!基金)を行っていますので、ご協力をお願いいたします。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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