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台風22号が猛烈に発達して週末には南西諸島に接近か

饒村曜気象予報士
台風22号の雲(9月9日15時、右下)

台風22号の発生と発達

 マリアナ諸島の東海上で、9月7日21時に台風22号が発生しました。

 台風の強さは、台風の眼の形と、眼を取り巻く雲の帯の幅と長さによって推定することができます。

 小さくて丸い円形の眼を持てば持つほど発達した台風ですし、台風を取り巻く雲の帯の幅が広ければ広いほど、雲の帯の長さが長ければ長いほど発達した台風です(図1)。

図1 説明図
図1 説明図

 マリアナ諸島の台風22号は、台風の眼がはっきりしてきました。また、台風を取り巻く雲バンドの幅が太く、ぐるりと台風の眼をとりまくという、台風が発達する兆候を示しています。

 台風の強度予報によると、台風22号は発達しながら西進し、9月12日にはフィリピンの東海上で中心気圧が905ヘクトパスカルの猛烈な台風となる見込みです(図2)。

図2 台風22号の強度予報
図2 台風22号の強度予報

台風の進路予報は、最新のものをお使いください。

台風の発達と海面水温

 台風22号の急発達は、海面水温が29度という高い海域を通るとことが主な原因と考えられています(図3)。

図2 台風22号の進路予報と海面水温29度以上の海域
図2 台風22号の進路予報と海面水温29度以上の海域

 筆者は、以前、台風の24時間気圧変化と海面水温の関係を調べ、940ヘクトパスカル以上960ヘクトパスカル未満の台風について、次の関係式を求めたことがあります。

 (24時間の気圧変化:ヘクトパスカル)=-8.00×(海面水温:度)+210.0 

 この式を使うと、次のようになり、台風22号は24時間で気圧が20ヘクトパスカル以上低くなります(予報の気圧の下がりとほぼ同じです)。

29度の海面水温 22ヘクトパスカルの発達

28度の海面水温 14ヘクトパスカルの発達

27度の海面水温  6ヘクトパスカルの発達

26度の海面水温  2ヘクトパスカルの衰弱

週末は南西諸島へ

 台風22号の進路予想は、発生したばかりで不確実ですが、猛烈な台風に発達したあとも西進を続け、週末には南西諸島に接近するかもしれません。

 この頃には、本州上に秋雨前線が停滞する見込みで、台風の進路によっては、秋雨前線が刺激されて大雨の可能性もあります。

 台風22号の動きに注意する一週間になりそうです。

タイトル画像、図2、図3の出典:ウェザーマップ提供。

図1の出典:著者作成。

平成30年7月豪雨による大雨被害に対して、緊急災害支援募金(Yahoo!基金)を行っていますので、ご協力をお願いいたします。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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