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猛暑日のトーンダウンと梅雨末期豪雨の懸念

饒村曜気象予報士
ゲリラ豪雨(ペイレスイメージズ/アフロ)

温帯低気圧に変わった台風7号

 沖縄本島地方を直撃し、西日本に豪雨をもたらした台風7号は、7月4日15時に日本海で低気圧に変わりました(図1)。

図1 気象衛星「ひまわり」の赤外画像と地上天気図(7月4日15時)
図1 気象衛星「ひまわり」の赤外画像と地上天気図(7月4日15時)

 低気圧に変わったといっても、積乱雲の雲は中心を囲むように渦をまいており、強い風、強い雨を伴っていますので、進路にあたる北日本では、油断することはできません。

 台風7号の通過後も、南西諸島や西日本では南海上から暖かくて湿った空気の流入が続いており、大気が不安定な状態が続いています。このため、連日、所々で局地的な豪雨が発生しています。

前線による北海道の雨

 北海道の6月は、一年で一番雨が少ない季節ですが、今年、平成30年(2018年)は、6月から低気圧や前線によって各地で大雨が降っています。

 台風7号から変わった低気圧の接近で、北海道は再び大雨の危険性が高まってきました。

 これまでに降った雨により、北海道と西日本では、土中に水分がたまっており、土砂災害が発生しやすくなっていますので、雨の降り方には注意が必要です(図2)。

図2 土壌雨量指数(土の中の水分量)(7月5日3時現在)
図2 土壌雨量指数(土の中の水分量)(7月5日3時現在)

 2年前の平成28年(2016年)、北海道は5つの台風と低気圧により、農作物に記録的な被害が発生しましたが、その悪夢がよみがえります。

関東地方も再び梅雨空

 台風7号から変わった低気圧が北日本を通過後、この低気圧からのびる前線が南下し、本州付近には前線が停滞するようになります(図3)。

図3 予想天気図(7月6日9時の予想)
図3 予想天気図(7月6日9時の予想)

 関東甲信地方は、6月29日に早々と梅雨明けをしましたが、梅雨の戻りとなります。

 関東地方に張り出していた太平洋高気圧が一時的に弱まりますので、これまで、早いペースで出現していた猛暑日がトーンダウンします。

 図4は、年ごとの累計した猛暑日日数です。平成30年(2018年)は、7月4日現在で、のべ200ヶ所を超えており、トーンダウンしたとしても、過去7年間では最も早いペースで上昇しています(図4)。

図4 年ごとの累計した猛暑日日数
図4 年ごとの累計した猛暑日日数

 厳しい暑さが早かった、平成25年(2013年)より厳しい暑さの訪れが早くなっています。

 体が暑さになれていませんので、十分な水分の補給や睡眠をとって、健康管理に注意が必要な平成30年(2018年)の夏です。

週間天気予報

 各地の週間天気予報を見ると、厳しい暑さの一服は今週末までです(図5、図6)。

図5 各地の10日間の最高気温の予報
図5 各地の10日間の最高気温の予報
図6 各地の10日間の天気予報
図6 各地の10日間の天気予報

 来週になれば、太平洋高気圧の勢力が再び強まり、北日本と北陸を除いて晴れの日が多くなるとともに、暑さも戻ってきます(図5、図6)。来週には東海から西の地方で梅雨明け(関東甲信地方では戻り梅雨明け)があるかもしれません。

 厳しい暑さの一服は、暑さに弱った体には嬉しいのですが、週末まで本州に停滞する前線の活動が活発となります。

 各地とも、豪雨に厳重な警戒が必要です。

図1、図2、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図3の出典:気象庁ホームページ。

図4の出典:気象庁ホームページをもとに著者作成。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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