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北日本と北陸で大雨、関東では続く猛暑

饒村曜気象予報士
大雨(ペイレスイメージズ/アフロ)

3分の1が真夏日

 太平洋高気圧から暖かく湿った空気が流れ込み、6月26日は前日の25日に引き続き、多くの地方で、晴れて気温が高くなりました。

 最高気温が35度以上の猛暑日を記録したアメダス観測所はなかったものの(兵庫県豊岡の34.8度が6月26日の全国最高気温)、30度以上の真夏日は、全国のアメダス気温観測所927地点のうち313地点(34%)もありました。

 6月27日も、関東から西の太平洋側の地方では、太平洋高気圧からの暖かくて湿った空気と強い日射で気温が高くなる見込みです。

 しかし、この強い暖気の流入によって低気圧が日本海で発達し、接近・通過で6月27日の北日本は、朝から雷雨の可能性があります(図1)。

図1 地上天気図と衛星画像(6月26日18時)
図1 地上天気図と衛星画像(6月26日18時)

北日本と北陸で大雨

 気象庁では、平成30年(2018年)6月20日11時から1キロ四方毎の詳しい降水(雨や雪)の分布予報を、これまでの6時間先までを15時間先までに延長しました。

 これによると、秋田県では、6月26日の夜中のうちに、27日の午前中には1時間に30~50ミリの激しい雨が県北部に予想されています(図2)。

図2 詳細な雨予報(6月26日23時発表の27日10時の予報)
図2 詳細な雨予報(6月26日23時発表の27日10時の予報)

 発達した低気圧が通過後、前線が南下して東北南部から北陸地方に停滞する見込みです(図3)。

図3 予想天気図(6月28日9時の予想)
図3 予想天気図(6月28日9時の予想)

 このため、北日本と北陸地方、特に青森県や秋田県を中心に28日にかけて大雨の恐れがあり、警戒が必要です(図4)。

図4 警報級の可能性(函館、秋田、新潟)
図4 警報級の可能性(函館、秋田、新潟)

 秋田県の時系列予報によれば、27日日中に強い雨が降ったあと、28日にも強い雨が降り、週間天気予報によると、その後の一週間も雨の日が続きます(図5)。

図5 秋田の時系列予報
図5 秋田の時系列予報

 秋田県など北日本から北陸地方では、土中に水分がたまり、土砂災害が発生しやすい状態が続きますので、雨が弱まっても、しばらくは油断できません。

 昨年、平成29年(2017年)の梅雨末期は、東北地方では、梅雨前線が停滞し、南から暖かく湿った空気が流れ込んだため、秋田県由利本荘市北部で1時間に約110ミリの記録的短時間大雨情報が発表になるなど、秋田県を中心に非常に激しい雨が降りました。このため、秋田県の雄物川が氾濫し、大きな被害が発生しています。

 近年の雄物川で、5000戸以上が浸水した水害は、何れも7月を中心とした前線によるものでした。今年は、季節の進み方が例年より早いので、6月末でも警戒が必要です。

関東地方は晴天が続く

 東北南部から北陸地方の前線は、日本の南海上の太平洋高気圧の勢力が強いために南下できないことから、本州の太平洋側、特に関東地方では、梅雨明けを思わせるような晴れた日が続きます(図6)。水不足の懸念もでてきましたので、今から節水に努める必要があります。

図6 週間天気予報
図6 週間天気予報

 

 雨が降りすぎる地方、雨が足りない地方がありますが、いずれの地方も、気象情報に注意して対策をとる必要があります。また、早い夏の到来で夏バテ気味の人も多いかと思いますが、夏本番はこれからです。睡眠と栄養をとり、夏本番に備えましょう。

図1、図5、図6の出典:ウェザーマップ提供。

図2、図3、図4の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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