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強い暖気の北上のち強い寒気の南下 「木の芽時に心が動きやすい」のは本当

饒村曜気象予報士
木の芽(ペイレスイメージズ/アフロ)

大荒れの一週間

 日本海北部で4月11日(水)から12日(木)にかけて発達する低気圧の影響で北日本を中心に荒れた天気となるおそれがあります。

 4月11日(水)は、日本海北部の発達中の低気圧に向かって、南から強い暖気が入ることから、全国的に気温が上昇します(図1)。

図1 予想天気図(4月11日9時の予想)
図1 予想天気図(4月11日9時の予想)

 しかし、翌12日(木)は、西高東低の冬型の気圧配置となって北から強い寒気が南下しますので、全国的に気温が下降しますので、前日とは様変わりです(図2)。

図2 予想天気図(4月12日9時の予想)
図2 予想天気図(4月12日9時の予想)

 さらに、4月14日(土)から15日(日)頃は、日本海南部を低気圧が発達しながら通過する見込みで、西日本を中心に、荒れた天気となる所がある見込みと、気温変化が大きくて大荒れの一週間となりそうです。

体調を崩しやすい季節

春は、気温の変化も大きい季節です。気温の大きな変化等に身体の調整能力が追いつかない場合は、頻繁に体の変調をきたすことになります。

 生体と気象や気候との関係を研究する学問に生気象学があります。その研究によれば、リウマチや喘息など気象と関係がある病気(気象病)は、気圧や気温などの気象要素の値そのものとは大きな相関関係はないものの、気象要素が急激に変化するときに病状が悪化しやすくなるといいます。

 つまり、発達した低気圧が通過するときや活発な前線が通過することが多い春は、気象と関係がある病気が悪化しやすい季節ということができます。

 また、春は気温が低いためあまり感じませんが、すでに日射しが強くなっています。冬の弱い陽光になれた肌は、まだ紫外線の害に抵抗する準備が充分に整っていないので紫外線の影響による被害が出やすくなっています。気温が高い夏は、長時間にわたって屋外で過ごすことは警戒しますが、気温が低い春は長時間にわたって太陽の光を浴びがちですので、紫外線に一番警戒すべきは夏ではなく、春です。

 さらに、杉などの花粉が飛び出すようになるので、花粉症が蔓延します。

 このように、春はいろいろなことで体調を崩しやすい季節でもあります。

木の芽時は心が動きやすい

 3月から4月にかけての季節を、「木の芽時(コノメドキ)」といいます。木の芽や虫たちが動き出す季節ですが、昔から「木の芽時は心が動きやすい」と言われています。

 「木の芽時は心が動きやすい」という理由は、木々の美しさと自然の厳しさをみせる自然界の要因と、暖かくなって情緒不安定となりがちな心理的要因、実際に体が変調をきたす身体的な要因など、春は心を動かすいろいろな要因が重なっているためではないでしょうか。

 春は、「草木の芽が張るの意」とも言われ、古くから木の芽立の美しさや生命力を賞賛している言葉の多い季節であると同時に、「春愁」、「春傷」、「春恨」といった春を悲しむ言葉も多い季節です。

 春は、精神的に一番バランスを崩しやすいことから、いつもよりゆっくり休みながら体調を整え、来るべき夏に備える必要があると思います。

図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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