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春一番が吹いた北陸地方 再度寒気南下で春はまだ先

饒村曜気象予報士
冬 大雪 閉塞成冬(提供:アフロ)

北陸地方で春一番

 気象庁は2月14日に、前日まで雪が続いていた北陸地方と中国地方、九州北部で「春一番」が吹いたと発表しました。日本海を低気圧が発達しながら通過したため、低気圧に向かって金沢市の最大瞬間風速が毎秒16.9メートルなどの南よりの強い風が吹き、最高気温も前日より3~9度上がって3月並みの陽気になったからです。

 春一番の基準は地方により異なりますが、立春から春分までの間に日本海で低気圧が発達し、南よりの風が強く吹いて気温が上昇することは目安です。北陸・中国・九州北部地方以外では、南よりの風が弱かったために春一番が見送られました。

 春一番が吹いたあとは、寒気が南下して一時的に寒くなりますが、次第に春に向かって暖かくなります。しかし、今年の場合は、再度強い寒気が南下してきます。

再び寒気南下

 日本海に、発達中の低気圧がありますが、日本の南海上に停滞前線があって暖気が強く入ってきませんので、北陸・四国・九州地方の春二番、その他の地方の春一番にはならない見込みです(図1)。

図1 地上天気図(2月17日3時)
図1 地上天気図(2月17日3時)

 日本海の低気圧の通過により北日本は強い風と強い雪に注意が必要ですが、その後は、北日本の上空約5000メートルに氷点下42度以下という強い寒気が流れ込み、西高東低の冬型の気圧配置となります(図2)。

図2 予想天気図(2月18日9時の予想)
図2 予想天気図(2月18日9時の予想)

 ただ、これまでの北陸地方から西日本を中心に寒気の南下ではなく、北陸地方から北日本を中心に寒気の南下です。冬型の気圧配置の特徴である南北に伸びる等圧線の間隔は、西日本より北日本のほうが混んでいます。

 強い風が吹いて大雪の可能性があるのが、これまでの北陸から西日本の日本海側から、北陸から北日本の日本海側に変わりますが、北陸地方は引き続きです。

週間天気予報では週明けに関東で雪

 週間天気予報によると、強い寒気南下に伴い、北陸から北日本の日本海側では、明日の2月18日にかけて暴風と大雪に警戒が必要です(図3)。

図3 札幌・青森・新潟・東京の週間天気予報
図3 札幌・青森・新潟・東京の週間天気予報

 土日の強い寒気南下が一段落すると、今度は本州の南岸を低気圧が発達しながら通過し、関東地方でも大雪の可能性があります。通勤・通学に大きな影響がでますので、週明けは関東地方も大雪に注意です。

 豪雪の北陸地方の春は、もう少し先です。北陸地方だけでなく、日本列島の春はもう少し先ですので、全国的に気象情報に十分注意する日々が続きます。

図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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