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続く強い冬型の気圧配置 日本海側の大雪と雪のない平昌オリンピック

饒村曜気象予報士
タイトル 気象衛星可視画像(平成30年2月3日21時)

これから日本海側の地方の大雪

 南岸低気圧が通過したあとは、西高東低の冬型の気圧配置となり、北から寒気が南下するのが一般的です。

 ただ、今回の南岸低気圧の場合は、上空に入ってきた寒気に対応する低気圧が日本海にできます。このため、南岸低気圧の通過後に冬型の気圧配置になるのではなく、日本海低気圧の通過というワンクッションをおいてから冬型の気圧配置になります(図1)。タイトル画像の気象衛星「ひまわり」の可視画像では、日本海の雲の渦巻きがはっきり確認できます。

図1 地上天気図(平成30年(2018年)2月3日9時)
図1 地上天気図(平成30年(2018年)2月3日9時)

 日本海側の地方の大雪には、大きく分けて、「山雪型の大雪」と「里雪型の大雪」がありますが、人口が多い平野部でも大雪になる「里雪型の大雪」のほうが、大きな影響がでます。

 どちらも、大きく見れば西高東低の気圧配置ですが、「山雪型の大雪」の場合、上空の寒気が北日本に南下します。これに対し、「里雪型の大雪」の場合は、上空の寒気が日本海に南下してきます。このため、「里雪型の大雪」の場合は、地上天気図には、日本海に上空の寒気に対応する小さな低気圧、もしくは、等圧線が日本海で膨らみます。

 しかも、今回の日本海の低気圧は、小さな低気圧ではなく、はっきりした低気圧です。それだけ、日本海上空に入っている寒気が強いことを示しています。嵐の前の静けさというところです。強い西高東低の冬型の気圧配置になったときには、全国的に厳しい寒気南下に注意する必要があります。

 今回の冬型の気圧配置は、まず、里雪型になってから山雪型と、里も山も大雪に警戒です。

 気象庁では、早々と大雪警報の可能性が続くとの情報を発表しています(図2)。日本海側の地方を中心に厳重な警戒が必要です。

図2 福井の大雪警報の可能性
図2 福井の大雪警報の可能性

 冬型の気圧配置となると、日本海側の地方では大雪となりますが、韓国・平昌では雪が降らなくなります。

冬型の気圧配置では雪が降らない韓国・平昌

 韓国・平昌オリンピック開催(2月9日)まで、1週間を切りました。

 冬型の気圧配置になると、日本海側の地方では、シベリアからの寒気が日本海を吹き渡ってくるため、下層から湿って日本海側の地方に大雪を降らせます。しかし、平昌は、シベリアからの寒気が陸地を通ってきますので、寒くなるものの雪は降りません。

 雪には空気が多く含まれていますので保温効果があります。このため、大雪が降っているところでは、寒くなっても限界があります。

 日本の雪国と違い、平昌は雪が少なく、雪による保温効果は期待できません。極端な寒さに直接さらされます。

 厳しい寒さと少雪に負けずに、頑張れ日本。

タイトル画像、図1、図2の出典:気象庁ホームページ。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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