大雪の中でのセンター試験 不公平を乗り越え頑張れ受験生
西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)
4月に入学となると、1~2月に入学試験となりますが、この頃は、一年で一番寒い時期です。しかも、天気は、全国各地で大きく異なることが多い季節です。
西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)となることが多く、日本海側では雪が主体の天気、太平洋側では晴れが主体の天気での入学試験ということになります。
平成30年(2018年)の大学入試センター試験は、1月13日(土)と14日(日)に行われますが、西高東低の気圧配置(冬型の気圧配置)が強まり、今冬一番の強い寒気が南下し、日本海側を中心とした記録的な大雪の中での試験となりました。
全国一斉の試験ですので、受験生が天気によって大きな不利にとなる地方がでないよう、試験に関係する多くの人が、当日の天気予報をもとに対策をとっています。
つまり、試験を受けるのは受験生だけではありません。試験の関係者は、当日の天気の問題についての試験が行われているのです。順調に試験が行われてあたりまえ、順調でなければ非難をうけるという責任を伴った受験です。
1月13日(土)の試験では、全国695ヶ所の試験会場のうち、新潟大学など24の試験会場においては、試験開始時間を雪による交通機関の乱れなどを考慮して遅らせていますが、大混乱は回避しています。
平成30年の大雪のピークは14日(日)の明け方までで、14日(日)の日中は移動性高気圧におおわれ、全国的に穏やかな天気になりそうです(図1)。
日本海には寒気の流入を示す筋状の雲が発生していますが、その発生場所は、日本海の真中あたりで、数日前のように、大陸のすぐ近くからの発生ではありません(図2)。
このことは、今回の寒気が数日前に比べて弱くなっていることの反映です。大陸からの寒気が強ければ、日本海に入ってすぐに筋状の雲が発生します。
大雪は峠を越したといっても、厳しい寒さは続きます。朝の気温は、全国的に氷点下の所が多くなっており、日中も気温が10度を越えないところが多くなりますので、雪が止んでても、路面凍結の場所がありますので、注意が必要です。
昨年も今年ほどではありませんが、強い冬型の気圧配置で日本海側の地方や北日本を中心に大荒れでした。
逆に、年によっては、本州の南岸を低気圧が通過し、太平洋側で大雪となり、太平洋側の受験生が大変な目にあうことがあります。大学入試センター試験の前身の、共通一次試験が始まった39年前は、南岸低気圧で太平洋側で雪となっています。
天気は多かれ少なかれ、不公平です。不公平ですが、人生の運・不運とは別物です。これを乗り越え頑張ろう受験生。
太平洋側が雪で始まった試験
大学入試センター試験が始まったのは、平成2年(1990年)からですが、その前身の「共通一次試験」が始まったのは、昭和54年(1979年)です。
日本の南岸を低気圧が通り、太平洋側で雪が降った昭和54年1月13日、日本の教育に大きな影響を与えた「共通一次試験」が始まりました。
全国225会場一斉に行われた試験に34万人が挑戦しましたが、大学入試センターでは大雪などで 試験実施不能の会場がでることに神経をとがらせ、68人の職員の半数が泊まり込んでいます。青森では大雪注意報が発表となり、関東から山梨、長野も雪景色で、東京は小雪がちらつく天気でしたが、交通機関への大きな影響はなく、試験関係者の努力によって、雪の影響もなく順調に試験が行われました。
ただ、東京都の本郷にある東京大学のキャンパスでは、東京都内の受験生の約3分の1にあたる1万6千人が受験しましたが、校舎の配置が複雑で、受験生が試験場探しに手間取ったため、東京大学の試験会場だけ試験開始を20分遅らせています。
大学入試センター試験が8月に行われたら
現在の日本の大学のほとんどは、4月入学ですが、欧米の大学のように、大学入学が10月となり、全国一斉試験が8月となった場合はどうなるのでしょうか。
暑さ対策が必要ですが、多くの年は冬ほどの地域差がでません。ただ、台風がやってくる年があり、その場合は、深刻な影響がでる可能性があります。
試験関係者に対する「当日の天気の問題」は、1月試験の場合は難しい年が多く、8月試験の場合は易しい年が多くても、極端に難しい年が混じっているという、どちらにしても、大変です。
週間天気予報によると、一番寒いときの大学入試センター試験
気象庁が発表した週間天気予報では、西高東低の冬型の気圧配置が続き、太平洋側の地方は晴れの天気が続きます(図3)。
寒気の南下は、大学入試センター試験の直前が一番寒く、週半ばには暖気が少し入って北陸地方では雨の可能性があります。ただ、週末は、再び強い寒気が入り北陸地方は雪の可能性があります。
なお、東京の週間天気予報の信頼度はほとんど「A」と高いのですが、新潟の信頼度は「B」や「C」が多くなっており、今後変わる可能性があります。
今年は特に、受験生、試験関係者ともに、最新の気象情報の入手に努め、早め、早めの対策が重要です。
図1、図2、図3の出典:気象庁ホームページ。
タイトル画像の出典:饒村曜(1998)、天気のしくみ、新星出版社。