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昔は異常低温注意報 北日本と新潟県で続く低温注意報

饒村曜気象予報士
秋の食材(写真:アフロ)

低温注意報

 北日本と新潟県で低温注意報が発表となっており、新潟県と東北地方では5日も低温注意報が続く見込みで、農作物への大きな被害が心配です(図)。なお、北海道は4日朝まで低温注意報が発表されていました。

図 低温注意報の発表状況(平成29年9月4日9時8分現在)
図 低温注意報の発表状況(平成29年9月4日9時8分現在)

 低温による被害は冬にもおきますが、農作物の被害ではなく、水道管の凍結や破裂による被害です。

 このため、低温注意報には、夏期の基準と冬期の基準という、2つの基準が作られています(表)。

表 低温注意報の基準
表 低温注意報の基準

昔は「異常低温注意報」

 「低温注意報」は、もともとは「異常低温注意報」と呼んでいました。

 昭和63年(1988年)4月1日から、中身はそのままで、名称だけ変更となったのです。

 同時に、「異常乾燥注意報」も「乾燥注意報」に名称だけ変更になっています。

 これらは、「異常」という言葉が、世界的にもかなり珍しい場合にしか使われないという理由からの変更です。

 昭和63年の変更は、「異常低温注意報」や「異常乾燥注意報」の変更だけでなく、昭和25年7月以来、38年ぶりという大幅な警報と注意報の変更です。「暴風雨警報」と「風雨注意報」が廃止となり、「雷雨注意報」も「雷注意報」に変わっています。

 この変更までは、風は強いが雨はそれほどでもない場合も「暴風雨警報」としていましたが、降水量を予測する技術が進んだこともあって、雨が降らない場合は「暴風警報」だけとし、雨量が注意報基準を超える場合は「大雨注意報」、警報基準を超える場合は「大雨警報」を併記することにしたためです。

 また、同じ理由で「風雨注意報」も「強風注意報」と「大雨注意報」に分け、予測に応じて、風と雨の警報、注意報を組み合わせて発表となっています。

 さらに、「雷雨注意報」は、冬期の雷は雨でなく、雪を伴う場合が多いことから「雷注意報」と名称変更となっています。

 警報や注意報の発表基準は、防災対策の進捗とともに、絶えず見直しが行われていますが、警報や注意報そのものについても、予報技術の進歩や時代の要請とともに変わってきています。

8月4日9時追記:北海道の低温注意報が8月4日朝に解除となりましたので、図を差し替え、なお書きを追加しました。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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