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東日本は雨が降るまでは台風3号の持ち込んだ暖気で高温も注意

饒村曜気象予報士
雨雲が近づく街並(ペイレスイメージズ/アフロ)

台風3号の上陸

台風3号が九州(8時頃長崎市付近、追記)に上陸し、梅雨前線の南側を東進する見込みです(図1)。

図1 予想天気図(7月4日21時の予想)
図1 予想天気図(7月4日21時の予想)

台風の勢力はそれほど強くなく、上陸後しばらくして熱帯低気圧に変わる見込みですが、台風の上空にはそれほど強い風が吹いていませんので、偏西風に乗って加速するというわけではありません。

このため、台風による長期間の雨に注意が必要です。

また、台風の持ち込む暖湿気流で、梅雨前線が刺激されていますので、梅雨前線付近の北陸から東北南部は、引き続きでは大雨に警戒が必要です。

気象庁では、「危険度を色分けした時系列」と「警報級の可能性」についてという、今年5月17日から始めた、新しい情報でも警戒を呼びかけています(図2、図3)。

図2 新潟市の大雨警報(4日4時43分新潟地方気象台発表)
図2 新潟市の大雨警報(4日4時43分新潟地方気象台発表)
図3 新潟県下越の警報級の可能性(4日5時00分新潟地方気象台発表)
図3 新潟県下越の警報級の可能性(4日5時00分新潟地方気象台発表)

ここで、「危険度を色分けした時系列」は、今後予想される雨量等や危険度の推移を時系列で提供するもので、警報級と注意報級が色分けされています。

また、「警報級の可能性」は、数日先までの警報級の現象になる可能性を提供するもので、雨、雪、風、波についての発表です。毎日5時、11時、17時におよび状況が変化した時に適宜発表する「警報級の可能性・量的予報(明日まで)」と、毎日11時と17時に発表する「5日先までの警報級の可能性(明後日以降)」の2種類があります。「高」は、警報を発表中、又は、警報を発表するような現象発生の可能性が高い状況です。「中」は、「高」ほど可能性は高くありませんが、警報級の現象となりうることを表しています。

台風3号の暖気で高温

台風3号が暖気を日本列島に持ち込みますので、東日本などの梅雨戦線の南側の地方では、雨が降るまで高温に注意が必要です(図4)。

図4 気温の分布予報(4日15時の予想)
図4 気温の分布予報(4日15時の予想)

今年の真夏日は、昨年に比べて少ない状態が続いていましたが、6月末から増え始め、7月2日462地点(全国の50%)、台風3号が東シナ海を北上中の3日は487地点(全国の52%)もあり、昨年の累計真夏日日数に近づいてきました(図5)。

図5 累計真夏日日数(全国の929地点)
図5 累計真夏日日数(全国の929地点)
気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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