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梅雨はどこへ 近くに梅雨前線がない梅雨

饒村曜気象予報士
<全国6都市の天気の変化> 東京 正午の天気 6月13日 B/4(写真:アフロ)

関東から西の地方は、6月7日に大気不安定で曇りや雨の天気が続くということで、気象庁は速報で梅雨入りを発表しました。

近くに梅雨前線がない梅雨入りですので、梅雨入りのタイミングが非常に難しく、秋に再検討の結果、梅雨入り日が確定するときに、日付が変更される可能性もあります。

沖縄付近で停滞している梅雨前線

梅雨前線は沖縄付近に停滞し、沖縄では大雨が降り、大雨警報(浸水害)、大雨警報(土砂災害)などが発表され、雨に対する警戒が続いています(図1)。

図1 予想天気図(6月16日9時の予想)
図1 予想天気図(6月16日9時の予想)

教科書通りではない梅雨の前半

梅雨前線が沖縄付近に停滞していることから、西日本から東日本は、北からの寒気が流入しています。

このため、大気が不安定となり、局地的に積乱雲が発達し、狭い範囲で豪雨が降りますが、広い範囲でシトシト雨が降るという、多くの人が持つ教科書通りの梅雨のイメージとは違った梅雨になっています。

また、日射が強まっても、北からの寒気が入っているなかですので、気温は極端にあがりません。

全国での真夏日(日最高気温が30度以上の日)の累計をみると、今年は5月下旬に真夏日が多かったものの、6月に入ってからは少しずつしか伸びていません(図2)。

図2 真夏日の日数の累計(2016年と2017年)
図2 真夏日の日数の累計(2016年と2017年)

金曜からは再び曇り主体の天気

週間天気予報によると、東京地方は、金曜からは曇主体の天気が続き、最高気温も最低気温も平年並と、極端な暑さにはなりません(図3)。

平成2年の猛暑以降、紫外線情報が充実しています。梅雨とは思えぬ晴天のときは、紫外線情報に注意し、紫外線に対する警戒が必要です。

また、上空に寒気が入っているときは、晴れると大気が不安定となり、積乱雲が発達して雷や突風、局地的豪雨となることがあります。広い範囲ではありませんが、遭遇した時への備えは必要です。

図3 東京地方の週間天気予報
図3 東京地方の週間天気予報
気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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