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成人の日の関東地方は、雨か雪か微妙

饒村曜気象予報士

ハッピイマンデー制度で早まった成人の日

最初の成人の日は、昭和24年(1949年)1月15日(土)で、以降、1月15日に行われてきましたので、すべての曜日で成人の日がありました。

しかし、平成8年(2000年)からハッピイマンデー制度が採用され、「1月の第2月曜日」が成人の日となっています。

月曜日を国民の祝日とすることで、定着してきた週休二日制の土日の休みと合わせて三連休としたためですが、これにより、成人の日が1月8日から1月14日まで年によって変化することとなり、それまでの1月15日より早くなっています。

ちなみに、平成8年は1月10日(月曜日)が成人式でした。

表 最近11年間の成人式の昼間の天気(東京都千代田区と新潟市)
表 最近11年間の成人式の昼間の天気(東京都千代田区と新潟市)

最近11年間の成人の日の昼間の天気

一般的には、成人式の頃は、西高東低の気圧配置が続き、日本海側の地方では雨か雪、太平洋側の地方では晴れることが多いのですが、年によって天気は変わります。

最近11年間でみても、いろいろな天気の成人式があります(表)。中でも、一番大荒れとなったのは、平成25年(2013年)の成人の日です。

「平成25年成人の日」の1月14日は、急速に発達した低気圧によって大荒れの天気となり、特に、関東南部では雪で交通機関が大混乱しています(図1)。

図1 大荒れの成人式となった平成25年の天気図(平成25年1月14日9時、右は前日の9時)
図1 大荒れの成人式となった平成25年の天気図(平成25年1月14日9時、右は前日の9時)

このときに成人式を迎えた関東から東北の人達は、高校卒業時には卒業式がまともに行われていません。高校卒業直前の3月11日に東日本大震災が起こったからです。このため、成人式の日には例年以上に皆で集まろうという気持ちが強かったと言われていますが、手荒い天気の祝福でした。

今年の成人の日の天気

週間天気予報によると、成人の日(1月9日)の天気予報は、次のようになっています。

札幌  曇のち一時雪 最高気温 1度 最低気温ー6度

仙台  雪か雨のち曇 最高気温 9度 最低気温 3度

新潟  曇一時雨   最高気温10度 最低気温 3度

東京  雨のち曇   最高気温13度 最低気温 4度

名古屋 曇      最高気温13度 最低気温 5度

大阪  曇      最高気温13度 最低気温 6度

広島  曇      最高気温12度 最低気温 4度

高松  曇時々晴   最高気温13度 最低気温 4度

福岡  曇      最高気温12度 最低気温 6度

鹿児島 曇時々晴   最高気温16度 最低気温 7度

那覇  曇      最高気温21度 最低気温16度

図2 平成29年1月7日9時の予想天気図
図2 平成29年1月7日9時の予想天気図

現在南下している寒気が日本の東海上に抜けたあと、東シナ海で前線ができ(図2)、その前線上に低気圧が発生して南岸を通過します(図3)。

この低気圧の通過によって、関東地方で降水現象があるのですが、寒気が残っていても、低気圧の通過時に南から暖かい空気が入ってくると予想し、「雨」という予報になっています。しかし、東京の最低気温の予想が4度、誤差を含めた予報では3~6度となっており、完全に雨とは言い切れない予報で、信頼度も、9日は「C」と、10日以降の「A」よりも悪くなっています。

図3 平成29年1月8日21時の予想天気図(地上気圧と850hPaの気温)
図3 平成29年1月8日21時の予想天気図(地上気圧と850hPaの気温)

降水現象が雨なのか、雪なのかで成人式の様相は大きく変わります。

関東地方では、雨か雪か微妙と考え、こまめに気象情報のチェックが必要です。

「五風十雨」の天気

「五風十雨」という四文字熟語があります。

五日ごとに風が吹き、十日ごとに雨が降るという意味で、世の中が平穏無事であるたとえです。「十風五雨」という四文字熟語もありますが、類義語です。

この言葉のように、晴ればかりの日が続くことは良いことではありません。風の日も雨の日もあり、時には嵐や雪の日があって世の中がなりたっています。

成人式の天気がどのような天気であっても、新成人の門出を祝福している天気と思います。

何事も良いことと悪いことがあります。日本は自然災害の多い国であると同時に、自然の恵みの多い国です。

自然災害を防ぎつつ、自然の恵みを享受してゆけば良いと思います。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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