寒い月末 東京に「木枯らし1号」が吹くかも
秋の移動性高気圧
秋の移動性高気圧は東に進むにつれて衰弱したり、中心が停滞しがちであるため、高気圧の前面(中心より東側の領域)に入る期間が長くなります。高気圧の前面は、北方からの澄んだ寒気が流れ込みやすいので、視程が良くなります。また、中国大陸も湿っているため、偏西風等にのってくる塵が少なく、「天高く馬肥ゆる秋」と言われるように、天が高くなったように感じます。また、秋の空は変わりやすく、男心や女心に例えられます。
10月の東京の気温
東京では、10月のはじめは、平年より高い状態が続いていましたが、中旬以降は、低気圧が通過したときに暖かくなって雨が降り、移動性高気圧が通過時には晴れて寒くなる(日射がある昼間は気温が上がる)を繰り返しながら、気温が低くなって冬に向かっています(図1)。図1で黒丸は、東京で0.5ミリ以上の雨が降った日です。
東シナ海で発生する低気圧が通過
月末は、東シナ海で発生した低気圧が通過し、その後、大陸から高気圧が張り出して冬型の気圧配置になります(図2)。寒気が南下し、寒くなりますが、東京では冬の訪れを告げる「木枯らし1号」が吹くかもしれません。
「木枯らし1号」の定義
気象庁では、関東地方(東京)と近畿地方(大阪)について、最初に吹いた木枯らしを「木枯らし1号」として発表しています。「木枯らし1号」の後に木枯らしが吹いても、「木枯らし2号」、「木枯らし3号」とは言いません。
「春一番」と同じく、最初だけの情報です。
日本人にとってなじみ深い言葉である木枯らしは、正確さを期す気象庁で、東京と大阪について、別々の定義をしています。東京と大阪以外では、定義がありません。
東京と大阪では、西高東低の冬型の気圧配置のときに最大風速が毎秒8メートル以上というのは同じですが、東京では10月中頃から11月30日の間で北〜西北西に吹く風というのに対し、大阪では二十四節季の霜降(10月23日頃)から冬至(12月22日頃)の間で、北北東〜西北西に吹く風です。
この定義に該当する風が発生しない場合は、「木枯らし1号の発生はなし」になります。
「木枯らし1号」は、気象庁で統計の対象とはなっていませんので、平年値というものはありません。だいたい東京では11月5日頃、大阪では11月10日頃に吹きますが、最近は遅くなる傾向があります。
昨年の「木枯らし1号」は10月24日
「木枯らし1号」は、初雪のたよりと一緒のことが多いのですが、一昨年は東京と大阪ともに10月27日でした。そして、昨年は、東京が10月24日、大阪は10月25日でした。
月末は一時的に冬型の気圧配置になりますので、「木枯らし1号」が吹くかどうかは、最大風速が毎秒8メートル以上になるかどうかということにかかっていると思います。
来週からは本格的な寒さに
東京地方の週間天気予報によると、10月30日(日)の最高気温は15度、最低気温は10度となっています。そして、3日(木)まで、最低気温が予想が10度の日が続きます(図3)。
今年の秋は、10月25日に10.0度まで気温が下がりましたが、まだ10度を下回っていません。日曜から5日間も最低気温の予想が10度の日が続きますので、このうちのいずれかで10度を下まわると思います。
東京で気温が10度を下まわれば、4月20日の9.8度以来、約半年ぶりということになります。
「木枯らし1号」が吹くかどうかはともかく、来週からは、本格的な寒さの季節に入ります。