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梅雨の晴れ間は強い紫外線に注意

饒村曜気象予報士
青空と太陽(写真:アフロ)

梅雨前線が南下し、梅雨の晴れ間となっています。

「五月晴れ(さつきばれ)」は、今では5月の乾いた晴天を指すことが多いのですが、もともとは旧暦5月(新暦では6月頃)の梅雨の晴れ間を指す言葉です。

このため、5月の乾いた晴天を「五月晴れ(ごがつばれ)」と使い分けている人もいます。

紫外線が強いのは太陽高度が高い6月

紫外線は可視光線より波長が短い光で、英語のultraviolet からUV と略され、波長の短い順にUVC、UVB、UVAと3つに分けられます。

波長が短いほど危険ですが、大気上層の電離層や大気中層のオゾン層よってほとんどが吸収されます。地表に届く紫外線は、有害紫外線UVBのごく一部と、生物に無害な紫外線UVAです。

酸素が含まれている大気が有害な紫外線をカットし、私たちが陸上で生活できるのです。

紫外線は、太陽高度が高くなるにつれ増えますので、紫外線が強いのは、夏至(6月21日)の頃です。ただ、この頃は梅雨によって雨や曇りの日が多く、月平均をとると、6月は7 〜8月より紫外線が強くはありません。

しかし、日々の値をみると、6月の晴れた日には、紫外線が強く、しかも、真夏ほど気温が高くはありませんので、長時間の屋外活動が苦になりません。

過ごしやすい季節のため、外出も多く、知らず知らずのうちに多くの紫外線を浴びてしまいます。

このため、梅雨の晴れ間は強い紫外線に注意なのです。

UV指数

入体に及ぼす影響の度合いを示す指標がUV指数です。UV指数が「中程度」「強い」場合にはなるべく日陰を利用し、「非常に強い」[極端に強い]の場合には外出を控えたぼうがよいとされています(図、環境省「紫外線保健指導マニュアル」による)。

図 UVインデックスに応じた紫外線対策
図 UVインデックスに応じた紫外線対策

紫外線は、体内のビタミンDの合成を促し、また日焼けした肌には健康的なイメージがあります。しかし、紫外線UVBを浴びると、肌にシミができたり、皮膚がんや白内障といった病気が引き起こされる恐れがあります。

近年、フロンガスによってオゾン層が破壊され、紫外線量が増えているのではないかと心配されています。なお、紫外線を浴びると、先のビタミンDの合成以外にも、肌を守るためのメラニンが生成されます。メラニンは日焼けのもとになります。

気象庁では2005年5月から、気象庁ホームページ等を通じて紫外線の強さとその予測に関する情報を提供していますが、いろいろな紫外線に関する情報があります。

梅雨の晴れ間の外出は、紫外線情報に注意し、日傘をさすなど肌の露出を避けたり、紫外線カットクリームを使用するなど、紫外線対策が必要です。

図の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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