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南岸低気圧通過 156年前の大雪の日に桜田門外の事件

饒村曜気象予報士
桜田門(写真:アフロ)

日本の南岸を低気圧が通過したため、関東地方は冷たい雨が降りました。

南岸低気圧通過後の関東地方は、冬型の気圧配置となり、寒気が南下して暫く寒さが続きます。

福岡市や東京都心など、桜が開花ましたが、この寒さで満開が遅れそうです。

今から156年前の1860年3月24日、旧暦では安政7年3月3日はもっと寒く、南岸低気圧の通過によって大雪となっています。

この大雪のなか、大老の井伊直弼、46才が江戸城に登城途中に桜田門外で暗殺されるという桜田門外事件がおきています。

日米条約に反対する水戸・薩摩藩士17名が、桜の節句の賀詞言上のために必ず登城する日を狙った犯行です。

大老を警備していた彦根藩士たちは、大雪のため柄袋で刀を覆っており、このため抜刀が遅れたことが暗殺を許した原因とされています。

大老が白昼暗殺されたことで、幕府の衰退が公然となり、倒幕への動きが急になっていますが、東京ではこんなに遅く大雪となるのは珍しいことです。雪が降らないことが多いのです。

普通の年であれば、暗殺失敗で、日本の運命は変わっていたかもしれません。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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