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週末は日本海に1020ヘクトパスカルの低気圧の予測で里雪型の大雪

饒村曜気象予報士
雪原(写真:アフロ)

低気圧は周囲に比べて気圧が低くなっている場所をいい、天気図では「L」または「低」で表します。逆に、気圧が高くなっている場所を高気圧といい、天気図では「H」または「高」で表します。それらの低気圧や高気圧は閉じた等圧線で囲まれています。

低気圧も高気圧も、周囲に比べて気圧が低いか、高いかですので、周囲の気圧が高ければ1020ヘクトパスカルの低気圧があります。逆に周囲の気圧が低ければ1000ヘクトパスカルの高気圧もあります。

低気圧や高気圧には基準となる気圧はありません。あくまで、周囲と比べてどうかということです。

図1 日本海にある1020ヘクトパスカルの低気圧(1月23日9時の予測)
図1 日本海にある1020ヘクトパスカルの低気圧(1月23日9時の予測)

日本海に前線のない小さな低気圧

暖冬が続いていましたが、先週からシベリア高気圧が強まって日本付近に張り出し、西高東低の気圧配置となって強い寒気が南下しています。このため、日本海側では雨か雪、太平洋側では晴れの天気が続いています。

気象庁の予想天気図では、23日(土)には日本海に1020ヘクトパスカルの小さな低気圧を予測していますが、この低気圧周辺の気圧が高くなっているからです。

また、日本の南海上には、1020ヘクトパスカルの高気圧を予測しています。

日本海に低気圧がある場合の西高東低の気圧配置は里雪型の大雪

日本海側での大雪には、山で大雪となる「山雪型」と、平野部でも雪が多い「里雪型」の2つがあります。

そのときの気圧配置は、大きく見ると、両方とも冬の代表的な気圧配置である西高東低型で、日本付近における等圧線は、ほぼ南北方向に走っています。

西高東低の気圧配置では、等圧線はほぼ南北に走り、等圧線の間隔が狭いところほど北西からの強い季節風が吹いて山では大雪となります。これが「山雪型」です。

図2 里雪型のしくみと天気図
図2 里雪型のしくみと天気図

これに対し、大きく見ると西高東低の気圧配置ですが、今週末のように日本海に小さな低気圧、あるいは、低気圧性の湾曲(気圧の谷)があるときは、強い寒気が日本海に入ったときですので、風は多少弱くなりますが、里雪型の大雪となります(図2)。

山雪型に比べると、人口が多い平野部で雪が多く降りますので、社会的な影響は大きくなります。日本海に小さな低気圧ができるときは要注意です。

その後は、日本海上空に強い寒気が入り、山雪型の大雪に変わります。全国的に強い風が吹き、西日本を中心に大荒れの天気となる所があり、西日本を中心に大雪となって気温が低くなり、太平洋側でも積雪となるおそれがあると、気象庁では警戒を呼びかけています。

しばらくは、雪と低温に警戒が必要です。

図2の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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