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寒気の強さは雪雲ができる場所でわかる

饒村曜気象予報士
気象衛星画像(平成27年12月27日18時)

冬のシベリア地方では、太陽光がほとんど当たらず、放射冷却によって冷たいシベリア高気圧をつくります。相対的に暖かい千島近海からアリューシャン列島南部にかけて気圧が低くなり、日本付近は西高東低または冬型と呼ばれる気圧配置となります(図1)。

日本付近の等圧線はほぼ南北に走り、冷たくて乾燥しているシベリアからの寒気が日本海に入ります。

図1 西高東低の気圧配置(平成27年12月27日18時、気象庁HP)
図1 西高東低の気圧配置(平成27年12月27日18時、気象庁HP)

日本海の筋状の雲

寒気が入ると日本海で積乱雲が次々に発生して筋状の雲ができます。

シベリアからの寒気にとっては、水温が10度以下の日本海であっても、暖かいお湯に相当していますので、湯気を上げて日本海を吹き渡り、日本海から熱と水分を吸収して下層から暖まり、不安定となって積乱雲ができるからです。

日本海の筋状の雲が大陸のすぐ近くから発生しているときは、強い寒気が入っているときですが、大陸から離れて発生しているときはそれほど強い寒気ではありません。

図2 日本海の筋状雲(平成27年12月27日19時30分、気象庁HP)
図2 日本海の筋状雲(平成27年12月27日19時30分、気象庁HP)

これらの積乱雲は、脊梁山脈によって強制的に上昇させられ、日本海側の地方に雪を降らせますので(図3)、筋状雲が大陸のすぐ近いところから発生している時は、強い寒気と大雪に警戒が必要ということになります。

図3 日本海側の地方の大雪
図3 日本海側の地方の大雪

本格的な寒気は年明けから

現在、寒気が流れ込んでいることを示す積乱雲の雲列は日本海北部にしかありませんので、寒気が入っているのは北日本が中心です。

また、日本海の筋状の雲は大陸から離れたところから発生していますので、寒気はそれほど強いものではありません。

今回の寒気が抜けたあとの年末年始は、比較的おだやかな天気の日が多くなる見通しですが、その後、本格的な寒気が入るときには、日本海の筋状の雲は大陸に近いところから発生します。

図3の出典:饒村曜(2012)、お天気ニュースの読み方・使い方、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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