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木枯らし1号の発表基準があるのは東京と大阪だけ

饒村曜気象予報士
木枯らし(アフロ)

東京と大阪で「木枯し1号」が吹き、札幌で初雪を観測するなど、冬の足音が近づいてきました。

気象庁では、東京(関東地方)と大阪(近畿地方)について、最初に吹いた木枯らしを「木枯らし1号」として発表しています。木枯らし1号の後に木枯らしが吹いても、木枯らし2号、3号とは言いません。春一番と同じく、最初だけの情報です。

図 平成27年の「木枯らし1号」が吹いた時の天気図(10月25日3時)
図 平成27年の「木枯らし1号」が吹いた時の天気図(10月25日3時)

「木枯らし」の定義

日本人にとってなじみ深い言葉である「木枯らし」ですが、正確さを期す気象庁では、東京と大阪の「木枯らし」について、別々の定義をしています。東京と大阪以外では、定義がありません。

東京と大阪では、西高東低の冬型の気圧配置のときに最大風速が8メートル/秒以上というのは同じですが、東京では10月中頃から11月30日の間で北〜西北西に吹く風というのに対し、大阪では二十四節季の霜降(10月23日頃)から冬至(12月22日頃)の間で、北北東〜西北西に吹く風です。

この定義に該当する風が発生しない場合は、「木枯らし1号の発生はなし」になります。

表 東京の「木枯らし1号」
表 東京の「木枯らし1号」

東京になくて大阪にあるもの、12月の「木枯らし1号」

12月は東京は木枯らしの該当期間ではありませんが、大阪は該当期間です。したがって、12月の「木枯らし」は大阪だけのものということになります。

木枯らし1号は、気象庁で統計の対象とはなっていませんので、平年値というものはありません。だいたい東京では11月5日頃、大阪では11月10日頃に吹きます。

多くの年では、「木枯らし1号」は大阪のほうが遅く吹きます。

今年の「木枯らし1号」は、冬型の気圧配置が強まった10月24日夜に東京で、25日午前中に大阪で「木枯し1号」が吹きました。

東京の10分ごとの平均風速が毎秒8メートル以上となったのは、24日24時00分に8.1、25日0時10分に9.2、0時20分に8.1、0時30分に9.0、1時40分に8.1メートルだけですので、真夜中の短い時間だけの「木枯らし1号」でした。

昨年の「木枯らし1号」は大阪のほうが早かった

昨年の「木枯らし1号」は、大阪が10月27日15時頃、東京が27日20時頃と、時間差ですが大阪の方が早く吹き、一般的な傾向とは違っています。

また、「木枯らし1号」は、最近は遅くなる傾向があり、特に、大阪での遅れは顕著で、東京との差が広がる傾向にあるといわれています。これについては、温暖化により初冬の季節風が弱まったために遅れがちとなり、さらに季節風の南限に近い大阪では、その影響が顕著なためであると考える人もいます。

しかし、昨年と今年は、普段より早く吹いており、一般的な傾向とは違っています。

いずれにしても、「木枯らし1号」のニュースは、冬の準備の催促です。本格的な冬はすぐそこにきていますので、普段より早めの冬対策が必要です。

表の出典:饒村曜(2014)、天気と気象100、オーム社。

気象予報士

1951年新潟県生まれ。新潟大学理学部卒業後に気象庁に入り、予報官などを経て、1995年阪神大震災のときは神戸海洋気象台予報課長。その後、福井・和歌山・静岡・東京航空地方気象台長など、防災対策先進県で勤務しました。自然災害に対しては、ちょっとした知恵があれば軽減できるのではないかと感じ、台風進路予報の予報円表示など防災情報の発表やその改善のかたわら、わかりやすい著作などを積み重ねてきました。2015年6月新刊『特別警報と自然災害がわかる本』(オーム社)という本を出版しました。

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