関東地方に初の特別警報 特別警報は4種類ある
台風18号は温帯低気圧に変わりましたが、この台風が持ち込んだ暖湿気流の影響で東日本を中心に大雨が続いており、関東地方で初めて栃木県と茨城県に特別警報が発表になりました。この特別警報には4種類があります。
きっかけは平成23年台風12号と平成24年7月九州北部豪雨
平成23年3月11日の東日本大震災では、気象庁は大津波警報などを発表しましたが、必ずしも住民の迅速な避難に繋がらなかった例がありました。また、同年の台風12号による大雨災害等においては、気象庁は警報により重大な災害への警戒を呼びかけたものの、災害発生の危険性が著しく高いことを有効に伝える手段がなく、関係市町村長による適時的確な避難勧告・指示の発令や、住民自らの迅速な避難行動に必ずしも結びつきませんでした。
また、平成24年7月の九州北部豪雨では、大雨・洪水警報や土砂災害警戒情報等で警戒を呼びかける中で、重大な災害が差し迫っている場合に一層の警戒を呼びかけるため、本文を記述せず、見出し文のみの短文で伝える気象情報の発表を初めて行いました。しかし、そこで使われた「これまでに経験したことがない」という言葉が、ニュース等で大きく取り上げられたものの、気象台が緊急事態になっているという危機感を抱いている状況であることが住民に素早く伝わりませんでした.
これらの教訓から、特別警報が作られ、平成25年8月30日から業務が開始となりました。特別警報は、これまでの警報より強く警戒を迫るもので、従来は警戒が発表されていても迅速な避難行動とならなかったものを、確実な避難行動に移してもらうのが狙いです。
特別警報は4種類ある
今まで、警報が発表されるときは、重大な災害がおきるときでしたが、特別警報が発表されるときは、警報の中でも特に危険な状態が迫っている時です。特別警報には、津波に関する特別警報、火山に関する特別警報、地震に関する特別警報、地震動に関する特別警報、気象等の特別警報の4種類があります。
特別警報のうち、気象等の特別警報が対象とする現象は、複数の府県にまたがる広い範囲で、甚大な災害が同時多発的に発生する現象で、都市機能の麻痺や、多くの集落が孤立し、復旧に長時間を要する現象です。発表基準は、数10年に1度のような災害時での発表が想定されています。
表の出典:饒村曜(2015)、特別警報と自然災害がわかる本、オーム社。