ブラインドサッカーに見た、サッカーという競技の「原点」

3月21日にさいたま市で行われた、ブラインドサッカー日本代表 対 ドイツ代表の国際親善試合「さいたま市ノーマライゼーションカップ2014」。はじめて生で見たブラインドサッカーからは、サッカーという競技の原点を強く感じたのだった。

ブラインドサッカーとは

ブラインドサッカーの概要
ブラインドサッカーの概要

画像の出典:ブラインドサッカーのルール

ブラインドサッカーとは、その名の通り目の見えない状況で行うサッカー。フットサルと同じように、ピッチでは4人のフィールドプレイヤーと1人のGKがプレーする。そこに声で指示を行うコーチ、コーラーが参加して、実際には7人がプレーに関与して競技が行われる。特に重要なのはコーラーで、相手ゴール裏にて、状況を常に味方へと伝え続け、ボールをゴールへと導く役割となっている。

フィールドプレイヤーは視力の強弱を揃えるため、アイマスクをする。そのため、GKを除いた全員が等しく「何も見えない」状態でプレーをしなければならない。GKは晴眼者がつとめ、コーラーやコーチと同じくプレイヤーに指示を出す。

見えない状態でプレーできるよう、ボールには鈴が入っており、音が鳴るようになっている。もしボールが止まってしまいプレイヤーがボールの位置を見失ってしまった時は、審判がボールに触って音を出し、競技者に位置を知らせる。またボールホルダーにチャレンジする者は、相手に対して声をかけることがルールとして決められている。これは、危険な接触を防ぐためで、声を出さずにボールを奪いに行くとファールとなる。

ここまで説明した時点で気がつかれただろうか。そう、この競技は目の見えないプレイヤーが、見えていないボールを扱って、目の見えるGKからゴールを奪わなければならないスポーツなのだ。そのため、ボールや味方がどこにいるかといった空間をイメージする能力に加え、ゴールへの意識や、シュートへのチャレンジが大変重要となる。

激しさの中に垣間見た、サッカーの原点

そんなブラインドサッカーでは、当然ながら相手の位置(特に足の位置)が正確には把握できない。そのため、ボールを追いかけるうちに遠慮なく接触・衝突などが発生する。ボールを奪いにいって足がかかることも日常茶飯事レベルだ。つまり、ブラインドサッカーは競技として非常に激しい。

しかしながら、そこで私の目を奪ったのは、そうした衝突や転倒などでは集中力を切らさない選手のメンタリティーだった。ボールを保持しゴールを奪うために、接触は当然であるかのごとく捉え、多少足がかかったくらいではプレーをやめない。いや、むしろそうした接触プレーでさえも楽しんでいるような雰囲気さえあっただろう。

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冷静にみれば、これはサッカーの原点そのものだ。多少の接触は厭わない、その姿勢。お互いをリスペクトした上で、全力でぶつかり、倒し倒され、だがあくまでプレーは「ゴールを奪うため」のみに向けられる。判定に食い下がることも無く、結果だけを受け止め粛々とプレーするその姿はとても純粋で美しかった。この日は多くの少年サッカー観戦者もいたのだが、この試合から何かを感じ取ってもらえればな、と強く感じた。

なお、試合そのものは残念ながら0-3でドイツ代表の勝利に終わったが、白熱した試合を見せてくれた両チームには、満員の客席より惜しみない拍手が送られた。特にドイツの6番を付けた選手は素晴らしく、まるでボールが見えているのではないか、と思わせるようなプレーと、力強いシュートに客席は何度も沸いたのだった。

ブラインドサッカー日本一を決める「フィアット カルチョ 2014」開催中

そんなブラインドサッカー界では、ちょうど3月22日、23日の今日・明日と、クラブチーム日本一を決めるための「フィアット カルチョ 2014」が横浜みなとみらいスポーツパークで開催されている。もしブラインドサッカーに興味がわいたなら、ぜひこの大会にも足を運んで、その激しさと熱いプレーを楽しんでもらいたいと思う。

ブラインドサッカー フィアットカルチョ2014