すべての韓国人が衝撃を受けた「中国人の裸キムチ」問題――その余波であぶり出された別のウソ

韓国のネット上に出回った「中国人の裸キムチ」動画=筆者キャプチャー

「中国で白菜を漬ける方法」という動画がキムチの本場・韓国で拡散し、社会に衝撃を与えている。裸の中国人男性が大きな水槽に入って白菜を手でかき混ぜたり、さび付いた掘削機で白菜の山を持ち上げたりする不衛生なシーンが次々に映し出され、「キムチの価値が下がる」と心配する声が相次いだ。この事態を受けて、韓国当局が国内レストランなどを点検したところ、中国産キムチを「韓国産」と虚偽表記するケースが続出、市民らは疑心暗鬼に陥っている。

◇唐辛子の山の中に大量のネズミ

 韓国のネット上で今年3月中旬、「中国で白菜を漬ける方法」という動画が拡散した。

 内面をビニールで覆われた巨大な水槽が、塩水とみられる黄土色の液体で満たされ、その中に無数の白菜が放り込まれている。そこに上半身裸の男性が胸元の高さまで入り込んで、素手で白菜をかき混ぜている。水槽にはさび付いたパワーショベルのバケット部分が突っ込まれている。

 このほか、唐辛子の山の中に大量のネズミが住み着いていたり、作業員が靴を履いたまま白菜の上を歩いたり、といった場面もあった。

 韓国MBCテレビは、中国メディアの報道として「中国では普通にみられる様子だ」と伝えている。

 韓国側の報道を総合すると、この動画は昨年6月の段階で中国版ツイッター「微博(ウェイボー)」に登場したものといわれる。当時、この動画をアップしたというパワーショベル技士を名乗る中国人が「皆さんが食べる白菜も、私が漬けたもの」「こうして作った白菜は韓国など各国にも輸出されている」と話したことで韓国社会に衝撃が走った。同時に韓国で「この動画が世界中に拡散すれば、キムチの価値が下がり、韓国のイメージも損なわれる」と危惧する声も高まった。

 この出来事は、韓国で「裸キムチ」問題と呼ばれている。

◇韓国での虚偽表記130カ所にも

 この問題により、韓国国内で中国産キムチに対する不安が急激に広まった。

 そのため、国立農産物品質管理院が3月22~28日、国内の飲食店や加工業者など3293社を対象に緊急点検を実施したところ、中国産を「韓国産」とする虚偽表記の例が続出、130カ所にも上るという衝撃的な結果となった。

 中国産の白菜キムチやベトナム産の唐辛子粉などを使って製造したキムチを「国産」としている▽キムチ餃子の材料として中国産の白菜キムチを使用していながら「国産」と表記▽中国産を提供しながら配達アプリには「韓国産」――などと不正は多岐に渡った。

 韓国KBSテレビが報じた緊急点検の映像では、取締班のメンバーが、ソウルにあるレストランに入り、メニューに「国産キムチ」と書かれているのを見つけた。

 メンバーが店員に「キムチは国内産ですね?」と尋ねると、店員は「はい、私たちはすべて自分たちで漬けていますよ」と話している。ところがメンバーが厨房に行き、別の従業員に同じ質問をしたところ、「中国産です」という返事がもたらされた。冷蔵庫のキムチボックスを見れば「中国産」の表示がはっきりと記されていた。

 別のレストランは「国産キムチで作っている」と回答しながらも、実際には中国産を混ぜて煮込んでいた。水で洗った中国産キムチを国産と偽って客に提供しているところもあったという。

 同院の担当者は「中国産は国産より安い。2~3倍程度の価格差があるのが実情だ」などと虚偽表記の背景にある事情を説明している。韓国の衛生当局は中国側と協議する意向を明らかにしているが、新型コロナウイルス感染症の影響で、そのプロセスは滞っているという。