米国ならではの気になる統計 2、ボディーカメラは警官の暴力を防ぐか

(写真:アフロ)

米国ならではの気になる統計2日目は、警官の暴力を防ぐボディーカメラの効果についての統計だ。

警察官の暴力はもちろん米国だけの問題ではない。ただ、よほど深刻なのか、あるいは真面目に対策を考えている政治家が多いのか、米国では2015年(まだオバマ政権の頃)、警官にボディーカメラを装着する25億円規模の予算が認められ、各州で装着が進んでいる。

今ドライブレコーダーが売れているのと同じで、この政策により警官自身が市民に監視されているという自覚が芽生え、非合法の行動が減ると期待されることからこの政策は広く支持されている。

しかし使った税金が本当に期待される効果をあげているのか確かめるのが米国の健全さで、すでに様々な調査論文が発表されているが、薬剤の効果検証で使われる様な統計学的に厳しい条件で行われた調査はなかった。

これに対しなんとワシントンの市長直轄オフィス、ワシントン警察署および、いくつかの大学が合同で、ボディーカメラの警官の非合法行動抑止力について、無作為化試験を行って米国アカデミー紀要に発表した(Yokum et al, A randomized control trial evaluating the effects of police body-worn cameras (警察官のボディー装着カメラの効果を確かめるための無作為化試験)PNAS 116, 10329, 2019)。

実際の方法だが、2224人のパトロールなど日常的に市民と接する業務にある警察官を無作為に半分に分け、半分にはボディーカメラ、残りにはカメラの装着を行わず、日常の業務を行わせる。ワシントンでは、もし身体への暴力を使った場合警官は報告義務があり、また市民から目撃や被害報告も受け付けており、これらを一つの評価基準として用いている。

もちろん実際にカメラを装着したかどうかの検証や、結果の評価など様々な条件を検討した上で、最終結果を計算しているが詳細は全て省く。

暴力使用の申告数、市民からの苦情数、そして非合法行為としての逮捕数の3つの指標で見たとき、ボディーカメラは何の効果もなかったという結果だ。

もちろん米国といえども暴力的な警官は一部だろう。とするとこの様な公的な統計に影響を及ぼすまでには至らないことは十分考えられる。例えば、ドライブレコーダーが増えたから事故が減るかという話と同じ様に思う。従って、この結果だけからボディーカメラは税金の無駄遣いと結論するのは早いと思う。市民の側から言えば、是非全ての警官がボディーレコーダーを装着して、公務上での行為をチェックしてほしいと思う。

最後に、政策の効果を役所が自ら精査して、しかも査読のある雑誌に報告する米国は、情報公開の仕方については我が国よりはるかに先進国と言っていいと思う。