恋人選ぶ時の好みは変化しない

(写真:ペイレスイメージズ/アフロ)

自分の過去を振り返って、交際した女性を思い浮かべると、今の連れ合いも含め、結構共通点があるように思う。深く追求すると厄介な話になるのでこれ以上の告白はやめるが、おそらく同じ思いは多くの人に共通ではないだろうか。

逆にオペラドン・ジョバンニのカタログの歌にもあるように、ドンファンはタイプを選ばないようで、好みに縛られているうちは、けっしてこの境地には達しないのだろう。

この話を考える上で最も面白い状況は、恋人との関係が破綻したあと次に交際する相手を選ぶときで、さすがにその場合はタイプの違う相手を選ぶのか?それとも、破綻してもなお同じタイプの相手を選ぶのだろうか?

こんな疑問に答える調査研究を、カナダのグループがトップジャーナル米国アカデミー紀要に発表した(Park and MacDonald, Consistency between individuals’ past and current romantic partners’ own reports of their personalities (前と現在の恋愛相手の自己性格診断は似ている) PNAS in press:www.pnas.org/cgi/doi/10.1073/pnas.1902937116)。

この研究はドイツで進んでいる、家族や生活形態の変化を追跡するコホート研究の対象者の中から、相手と恋愛関係を解消したあと、他の相手と新たに恋愛関係を始めた332人を選び、その人と付き合っている今の相手と、前の相手の性格診断を行い、両方が似ているのかうかを調べている。

心理学の人たちがどのように性格診断を行うのかがよくわかる論文だが、具体的にはBFI-Kとして知られる、外向性、率直さ、共感性、良心性、神経症的性格を個別に調べるテストを行い、この結果をさらに1)一般的な性格、2)交際相手と似ている性格、3)そして自分を特徴づけるような性格、にわけて調べている。調査は全て自己申告で行なっている。

結果だが、全ての項目で前と今の交際相手と前の交際相手の性格は似ていることがわかる。とくに、個人を特徴付けるユニークな性格まで似ているということは、どんなに失敗しても、パートナーを選ぶ好みが結局変わらないことを示している。しかも、パートナー同士ではなく、自分とパートナーの間でも性格がよく似ている。いわゆる似た者カップルが多いことになる。

いずれにせよこれらは全て傾向で、もちろんパートナー選びの傾向は本人の性格に大きく左右される。とくに、人と共感しやすく、神経症的性格が少ない方が、同じ性格の交際相手を選ぶ傾向がある。逆に、個人を特徴付けるユニークな性格に限って交際相手を選ぶ好みが似ているか調べると、外交的で率直な人は交際相手同士はあまり似ていないことがわかった。すなわち、浮気者、ドンファンになるには外向的で、率直でないとダメということになる。

話はこれだけで、面白いがよく論文になったなという印象だ。しかし、もし似た者同士が付き合うのが一般的なら、世代を重ねるとどんどん似た者のグループが分離してしまう。とすると、やはりドンファンはこの世の中に欠かせないようだ。