都会の生活は、夜も光が満ち溢れている。さらに、いつもテレビを見ながら寝たり、あるいは全く暗くして寝るのが嫌な人も多い。

これまでの動物実験で、睡眠中も光にさらされていると、肥満が起こることが報告されており、睡眠時に光にさらされていることが都市化とともに肥満が増えた原因かもしれない。

この問題を大規模調査で検討した論文が、米国・国立衛生研究所から、れっきとした臨床雑誌JAMA Internal Medicineの6月10日号に発表された(Park et al, Association of Exposure to Artificial Light at Night While Sleeping With Risk of Obesity in Women(夜間の睡眠中も人工光に晒される女性は肥満リスクが高くなる), JAMA Internal Medicine in press, 2019:doi:10.1001/jamainternmed.2019.0571)。

研究は単純だ。最終的に43722人の35歳から75歳の女性を、2003年から平均5.7年追跡し、体重・睡眠・食事などを中心に様々なデータを集めている。最初のインタビューで、夜睡眠時の光の状態を、光なし、フットランプのような小さな光、部屋の外の光、テレビをつけているか明かりをつけたまま、の中から自己申告させ、この結果と肥満に関わる様々な指標とを相関させている。

結果だが、全く光なしで寝ている人は7000人、逆に明かりをつけたまま、あるいはテレビをつけたまま寝ている人が5000人、後の残りが、小さな光をつけているという状態で睡眠している。

全く光なしと、少し光がある条件では、どの指標でも差は認められない。しかし、テレビか明かりをつけたまま寝ている人たちは、BMI、ウエストとヒップ比、ウェストと身長比など全ての指標で参加時に肥満が見られた。

その後の追跡調査で体重やBMIの変化を調べると、明かりをつけて寝ている人では、体重やBMIがはっきりと増加する傾向が見られる。

この原因を様々な生活習慣と対応させると、たしかに光をつけて寝ている人は、睡眠時間は短く、夜食を食べたり、独り住まいが多いなどの生活上の問題が存在する。しかし、これらの要因を全て差し引いても、明かりをつけて寝ている人たちには肥満傾向が見られるという結果だ。

著者らはこの原因について、光がメラトニンの分泌を慢性的に抑制することで体のサイクルが壊れ、肥満の危険が増す可能性を挙げているが、決定的な話ではないと思う。

ただこの論文の中で、睡眠時の光と肥満を調べたわが国の論文が引用されていたので早速読んでみた。被験者が高齢者に限定され、数は537人と少ないものの、かなり丁寧な研究で、奈良医大から2013年に発表されている(Obayashi et al, J.Clin.Endocrinol Metab, 98:337, 2013)。

この研究では、各家庭を訪れて体重などの様々な指標を調べるとともに、睡眠時の部屋の明るさを測定している。結果は明瞭で、就寝中の部屋の明るさが肥満や糖尿病の割合と比例することが示されている。とすると、睡眠時の光による肥満の問題は日本人にも関わっている。

結局夜を失うことは、健康も失うことのようだ。